December 08, 2013 20:32

「そして父になる」 是枝 裕和, 佐野 晶

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先日見た映画の原作です。
原作というか、この映画の監督が、
もう一人の作家と共同で、この映画のより詳しい「脚本」を
そのまま本にした様な作品です。

*****

最初読み始めて、正直、
淡々とした描写が続くので、「これは結構つまらないかな」と思いました。
映画の内容をそのまま丁寧に書いているだけだし、
これじゃあ、本を読む意味がないぜと。

しかし、読み進めて行くうちに、
一度、慶多や琉星の気持ち(こどもたちの気持ち)や、
リリーフランキーの妻のゆかり(真木ようこ)の気持ちが描かれたところに入った瞬間に、「あ、これはかなり面白い」と思いました。

映画の中では、さすがに子供のきもちまでは、
丁寧に描かれていません。
きっと描かれているのでしょうが、
映像だけでは、つまり、台詞が無い状態では、
中々理解しにくいところもあります。

しかしこの本では、この映画に出て来る登場人物全員の気持ちが、
きちんとその人の視点で描かれているので、
読んでいるうちに、「ああ、こういう気持ちだったのか」
というのが分かって、よりこの映画の話を深く見ることができます。

*****

更には、福山雅治が演じる良多の過去の人生も細かく描写されていて、
「なるほど、こういう事だったのか」というのが分かり、
よりこの話を理解できました。



結局、良多も、子供の頃から経験した様々な事による、
被害者であり、
彼は、42歳にして、初めて、
自分の中のそれらの事と、向き合うのです。

*****

深い話でした。

この本を読んでから、もう一度映画をじっくり見てみたくなります。

2013/12/8 20:29





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