September 01, 2013 19:30

「夏の葬列」 山川 方夫

hyousi

この作品は、自分が確か小学校3年か4年の頃に、
学校の教科書で読んだ覚えがあります。

夏の暑い夕方、
だるい感じ、
ツクツクボウシが鳴いて、少し物悲しい感じがすると、
なぜか、この作品の世界観を思い出すのです。

主人公の男が、
サラリーマンとなって、
自分が小さい頃に過ごした町に帰ってきて、
そこで、道を歩いている光景が。

背広の上着を肩にかけて、
道を歩いていると、
目の前から、葬列が自分に向かって来る様子が。

*****

この作品の核心的な部分は、忘れていましたが、
一つ記憶に強く残っていたのは、
この男が、その葬列の写真の顔を見た時に、
「何と言う皮肉だ。
ここで、この顔に会ってしまうなんて」
という様なくだりがあったこと。

その葬列の写真の顔が誰だったのか。
それは、自分が昔関わった人の顔であったことは覚えていたが、
それが、一体誰だったのか。
それは、今回この小説の話を妻に何度か話し、
妻が検索をして、何とかこの小説の題名と作者を探し出してくれ、
それをAmazonで買い、この度20年程ぶりに読み返すまでは、
思い出せませんでした。

*****

実際に読んでみると、この作品はとても短く、
あっという間に終わるものでした。
しかし、それにも関わらず、この作品が、
当時10歳前後だった自分の記憶に強烈に残り、
20年程たった今でも、
教科書の他の作品は殆ど忘れていても、
この作品のことだけは覚えていたのは、
よほど、この作品の醸し出す雰囲気が、印象的だったのでしょう。


その、人生の皮肉を描いた、妙な雰囲気が。

*****

この文庫本は、著者・山川 方夫(やまかわ まさお)の他の短編小説、そして中編小説も入っています。

他にも、「待っている女」「お守り」など、
印象的な作品ばかりです。

ぜひ、おすすめです。

2013/9/1 19:23








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