January 26, 2013 11:55
『パプリカ』
なかなか凄い作品でした。
インパクト強烈。
監督は今敏、原作は筒井康隆。
2006年11月25日公開。
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最初の出だしの部分で、
既に、「こりゃすげえ」と引き込まれました。
ストーリーがどんなものか知る前に、
まず、その映像が凄い。
人の動きは、まるで、
一度実際の俳優が演じたのを
モーションキャプチャーで捉えて、
それをアニメーションに描き起こしたかのように、
リアルです。
よって、人の動きは、
どちらかというと、
『日本の純アニメ』というよりも、
オールドファッションのディズニーとか(白雪姫など)、
そっちの方に、人の動きに関しては近いです。
しかし、その世界観は、
完全に、日本のそれです。
日本人しか描けない様な、
人の心理の奥底に踏み込んだ、
引き込まれるけれども、正直恐い様な、
そんな世界が描かれています。
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この作品では、
人間の「夢」の中に入って物語が展開されますが
(そんな意味では、少しだけ『インセプション』にも近い)、
よって、夢を見ているときには実際に起こる様な、
それまでと全然違う描写、場面が、
次から次へと予想不可能に起きて行く、
という様が、とても自然に、かつ上手に撮られています。
なので、実際にこの作品を見ながら、
頭では、全てを理解はできないものの、
同時に、「これは夢なんだから、何でも起こりうる」と、
自然にそれを受け止める自分がいます。
それは偏に、脚本の良さもありながらも、
全ては、映像表現のうまさと、
全てが流れて行く「タイミング」「間」のうまさゆえでしょう。
以外と、こうして全てを自然に観られる映画は、
その「タイミング」「間」の存在自体に気づかないものの、
逆に、それがうまく出来ていない作品を見た時に、
初めてその存在と、その重要さに気づくものなのです。
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とにかく、よく出来た作品でした。
監督の今敏(こん さとし)さんが、
既に46歳の若さで亡くなっていることは、
とても残念なことです。
2013/1/26 11:55