December 19, 2012 21:20

「幻滅と別れ話だけで終わらない ライフストーリーの紡ぎ方」by きたやま おさむ, よしもと ばなな

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これは、かなり面白い本でした。

『面白い』というのは、
"Interesting"という意味で。
"Fun"じゃなく。


朝日出版社より2012/9/6に発行。

*****

この本は、確か一ヶ月くらい前から読み出して、
2週間くらいかけて、2週間程前に読み終わった気がしますが、
すぐに感想を書かなかったので、
それがずっと気にかかっていました。


読んでいる最中は、
「うーん、これは面白い・・・!」
という感じだったのですが、
毎日、会社の15分程の休み時間を使って
ちびちびと読んでいたので、
本の最初の方で感じた「これは面白い!」という感動を、
最後の方には、ちょっと忘れてしまった感じでした。

現に今も、このレビューを書くに当たり、
一回、本をパラパラと捲って、
内容を確認しなければいけなかったし。


最近、読んだ後にその記憶が、
前に比べて早く飛ぶ様になった気がします。
やべえやべえ。

*****


この本は、きたやまおさむ氏とよしもとばなな氏が、
まずはきたやま氏が講義をした内容を載せた後、
それに関して、二人で話をして行く、というものです。


よしもとばなな氏は、自らこの本の序章で、
「わたしの支離滅裂な質問にも、
きたやまさんはしっかりと答えてくれて・・・」のようなことが書かれていますが、
本当に、完全に感覚の世界で話をしているなあ、というか、
読んでいて、余りにも言葉遣いが簡略化されているので、
(「あの、あれがですね、こうなるんですよ、ほら」的な。)
なので、きたやま氏がいちいち、
「で、それはつまり、具体的に言うと?」と聞き返してくれているので、
こちらもかろうじて分かるものの、
最後の方は、中々読んでいてイライラしたりもしました。

よしもとばななさんの本は、
以前に一冊しか読んだことがありませんが、
この人は、きっと、
ものすごい感覚の人なんだと思います。

*****


さて、話を「面白かった」点に合わせて。


この本の最初の方では、
「浮世絵」を例に出して、
日本人の、母親と子供の関係を話して行きます。

海外では、昔から子供はベッドに寝かされ、
「添い寝」はしません。
しかし日本では、親と子供は、
添い寝をするのです。

海外では、小さな頃から、
子供は「一人のIndividual」として扱われ、
人と人は、
お互いに向き合う、という姿勢を取られますが、
日本では、
親と子供が添い寝をするように、
親と子供は、二人で何か同じことをしながら、
二人で「見つめ合う」ということはなく、
何か別のもの、同じ方向を二人で一緒に観ながら、
それで、二人の心、愛情を通わせる、
という手法がとられます。



よって、海外では流行るセラピーも、
(カウチに座って、
そこで、自分の心の内側を、
セラピストである相手に話して行くもの。
映画で言うと、"Good Will Hunting"で出てくる様なもの。)

日本では、決して流行らない。

なぜなら、日本は、「心」を「裏」として捉える文化であり、
それを、赤の他人に自ら見せるということは、
日本人の文化に馴染まないから、と。


*****


こういうことを、色々な視点を切り口として、
きたやま氏は解説して行きます。
このきたやま氏の講義が、本当に面白い。




また、オイディプス王の話に出て来る、
エディプス・コンプレックスの話。

(息子は、母親を愛すが、
その間には、父親がそれを拒む状態で、
立ちふさがる。
それにより、息子は幻滅を覚える。
また、息子の母親に対する愛情が強いばかりに、
それが増悪へと変わることも同時に起きる。
息子は、母親の乳房から乳を吸うことで、
自分が愛情をもらうことを感じると同時に、
自分がまた、母親をその行為により、
傷つけているとも感じ、
その対峙する現実に悩む。)




また、「分かる」ことに対する話。

(人間は、何か正体が分からないもの、
未知なものに、恐怖を覚える。
よって、それが何か分かること、
つまり、「これはこれで、あれはこうだ」と、
自らの中でそれを、区分できたとき、
つまり、「分けられた」とき、
頭がすっきりとする。)



「きれいはみにくい、みにくいはきれい」の話。

(古事記の中にある、
『イザナキ・イザナミ神話』の話。
日本人が、昔から、
「見にくい」=「醜い」ものに、
どう対処をして来たか。)



「母親=女性」が、
世の中の絶対的な権力を持つ話。

(よしもと氏が、
自ら息子を持つことで、
息子の母親に対する関係に気づき、
それにより、
この世の中の、女性の持つ本当のパワーに気づいた、
という話。
女性は、本気になれば、
この世の中を全て統治できることを知りながら、
それを抑えて、
男を褒め、操ることで、
この世の中のバランスを取っている。)



などなど。


*****


また、2011.3.11の大震災の経験により、
日本人はますます、
大地、世界など、
何をも、心から信頼し、
頼って生きて行くことはできないことに気づき、
それにより、
どんな状態でも、
すぐに相手と状況を見て、
自らの行動をころっと変え、
次に移って行く術を、
ますます強くしている、と。


*****


うまく言い表せませんが、
上に挙げたことはほんの一部で、
そのような、興味深いこと、
心に響くこと、
考えさせられること、
等々、
様々な話題が、飛び出します。



(最後の方で、
人間は、二つの異なる目で、
1つの世界を見る訓練を、
小さい頃からして来たことから、
本当は、二つの目で、
別の二つの世界が見えるはずなのに、
それを敢えて1つに見ようとしていることで、
脳がコントロールされている、と。

しかし、よしもと氏のように、
小さな頃、ある一定の長い期間、
眼帯をするなどして、
1つの目でしか世界を見ず、
その後、もう一方の目を開いた人は、
後から開かれた目は、
既に開いていた目と、違う様に世界を見るので、
結果、
『普通』の人が見るのとは違う感覚で、
この世界を見ている、と。
そのようなことを、話している箇所もあります。

これは、何となく分かるけれど、
ちょっと恐いことを話しているようで、
感覚的には分かるけれど、
余り深入りしたく無い感じ。
実際、これを書きながら、
なんか恐い。)


******


など。
本当に様々なことが話されています。


心理学や、
哲学、
古典など、
また、感覚的なことなど、
そういったものが好きな人には、
おすすめの本です。


2012/12/19 21:48



追記:
ちなみに、このきたやまおさむ氏は、
精神分析学者でありながら、
昔、「ザ・フォーク・クルセダーズ」を結成、
作詞家としても活躍している。

有名なものには、
「あの素晴らしい愛をもう一度」など。






それから、
この本の著者名が、
両者ともにひらがなであるのは、
理由があってのこと。

その理由も、この本の中に書かれています。
















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