August 11, 2012 00:44

「Oさんとの出会い」

2012/8/11 0:25-

今日は、うちの会社を先日定年退職した
Oさんの家にいって、
そこでOさんと、もう一人の方と、
3人でお酒を飲みながら、音楽を聴いたりして、
楽しく過ごした。



Oさんは、恐らく62歳か63歳くらい。
元々俺がこの土地に移り、
最初に会社の風呂に入った日に、
浴槽に入って、
「大きい風呂でいいですね」と話しかけたその人が、
Oさんだった。


それから、Oさんは俺の顔を見ると、
笑顔でいつも話しかけてくれて、
お互いに名前の自己紹介もしていなかったが、
風呂場での「顔見知り」になっていた。

*****

それから少しして、
風呂場でいつものように少しずつ話していると、
彼が、音楽が好きで、
特にオペラが好きで、
一年に一回は東京へ行き、
本場オペラ公演を見に行っていることを知る。

それで、「すごいですね!」との話から、
「今度もし興味があったらうちに来て音楽を聴きますか?」
と誘って下さり、
結果、今日、彼の家に行く約束となっていた。


彼は、6月の最終末で退職が決まっており、
(既に2回程定年を迎えたが、退職時期を延ばしていたとのこと)
今回は、本当に退職ということで、
知り合ってほんの少しで、彼とは会社で顔を合わせない仲となってしまった。

*****

彼は、本当に性格の良い人で、
最初は正直、ここの方言が強すぎて、
何を言っているかさっぱりだったけど、
俺も日に日にこの土地の方言を覚え、
今では、殆ど聞き返すことも無くなって来た。




彼はいつも、食堂で休憩中に見ると、
新聞を読んでいて、
休憩終了の時間がくると、
そそくさと早足で工場の現場へ帰って行く。

非常に真面目な方なんだというのが、
彼の表情と、仕草から伝わって来る。


*****


ということで、
6月末の時点で、
今日、つまり8月の2周目の金曜日に飲もうと話をしており、
今日、そういうことで、
彼の家にお邪魔して来た。


*****



彼の家は駅から歩いてすぐの所にあり、
駅で待ち合わせをしていたので、
俺はそこまでワインを一本買ってチャリで行き、
そこから一緒に歩いて彼の家へ向かった。




彼の家は非常に大きく、
ビックリしたが、
どうやら、一人で暮らしているとのこと。

「縁が今までなかったもんで」と、
笑顔を交えながら、ちょっと寂しそうに言っていたのが、
なんか心に残っている。


******



彼の家へ入り、
一階のダイニングにある冷蔵庫に、
俺が買って来たワインを入れる時に、
壁に飾ってある数々の絵画のポスターに気づく。


見ると、フェルメールなど、
西洋のものが多い。


聞くと、絵も好きで、
この前も、今東京でやっている
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を見て来たとか。



音楽以外にも、
絵など、
アート系で趣味が似ていることが知れて嬉しかった。


*****


二階の音楽ルームに上がると、
もう一人の方は既に上がって、
一杯先に始めていた。

(彼は今、品質管理部でまだ現役で働いている方。
俺は余り話したことは無いが、
もの静かで、知的な雰囲気のする方。
俺が研修で来月からそちらに伺うので、
その際にお世話になる。)




3人揃った所で、
Oさんがこの前東京に行った際に買って来たという、
一本2000円以上するチリのワインで乾杯。

これが美味しかった。


それ以外に、
彼が用意してくれた、
ローストビーフや、
近くの朝市で買って来たというキャベツとトマトで作ったサラダ、
骨つきのチキン、
カマンベールチーズ、
ピザ、
アーモンドなどのおつまみを肴に、
お酒を飲みながら、
語った。



*****


主に、Oさんが気を遣って、
色々と話題を振って下さった。


今日彼を見ていて思ったが、
彼は非常に人に気を遣う方で、
かつ、優しすぎるくらいの方なんだと思う。

少しでも話題が途切れると、
俺が興味のありそうな話題を振って下さり、
そこで、音楽の話をしたり、
村上春樹の話をしたり、
(彼はジャズが大好きで、素晴らしい音響を持っていたので、
まるで村上さんみたいだなあと思ったら、
彼の後ろに『1O84』が3冊並べておいてあるのを発見。
それを指摘したら、
やっぱり村上さんが大好きとのこと。
図書館にある村上さんの本は全て読破したらしい。
俺も彼の小説は『ダンスダンスダンス』以外読みましたよと伝えて、
海辺のカフカとかの話をした。)




そんなわけで、
優しすぎるOさんの温かい手料理とともに、
おいしいお酒を飲んだ。


*****




そして何より驚いたのは、
彼がその部屋に持つ、
凄まじい音響システム。


自分の身長くらいある高さの、
大きな大きなスピーカーが、
50インチの大画面HDテレビの左右に、
並ぶ。


そして、そのテレビの下には、
これまた大きなアンプが、
4台並ぶ。



聞くと、
なんと、そのアンプ4台で、
400万円以上、
スピーカー1セットで、200万円以上、

そして、それらの機器を繋ぐコードがあるんだけど、
(一本一本はもの凄く太い。)
それらのコードは、1本7〜8万円するそうな。
そんなコードが、
10本以上群がっていた。



そんなわけで、
その部屋は、
もう、プロの音楽家のような部屋だったわけです。



そして、そこで、
Miles Davisの"My Funny Valentine"を大音量で聴きながら、
その世界に浸る。

(その部屋は完全防音になっているので、
もの凄い音で聴いても、外には漏れない。)



俺が持つスピーカーとは比べ物にならないほど、
その音は、
まるで、目の前に生の演奏者がいるような、
まさに、ライブ会場だった。

観客の小さな声まで聞こえて来る。



アンプの大きさも半端無いので、
音の大きさ自体が、
全然違う。

パワーが違った。


*****



そして、その後は、
ワーグナーのワルキューレのライブ演奏の映像を見る。



これもまた凄かった。




*****




結局、
途中から、
俺がMacが好きという話になった後、
彼らの友達で、前にこの会社で働いていたもの凄いMac好きの友達がいるとのことで、
彼に電話をし、彼も急遽、
21:00前後に来る。

その後Oさんは、ワインを飲み過ぎて完全に寝込む。
その間、俺とその二人の計三人で、
大音量でまたマイルズデイヴィスを聴きながら、
色んな話をした。


(新しく来たその方は、
7年前に結婚したらしいが、
奥さんが中国の方で、
その結婚のエピソードももの凄くて、
そこから、異文化結婚の話、
日本の市役所の酷さの話、
その他色んなことを話した。
彼も非常に面白い人だった。)




そんなわけで、
18時半から飲み出して、
23時前になり、
眠るOさんをおこし、
挨拶をして、
帰って来た。



*****



帰り道、思った。

すごく楽しかったな、と。



俺は、今はこの町に、
1年限定で来ているわけだけど、
その中で、
たまたま会社の風呂で出会った、
全然違う職場の人と友達になり、
その人のうちで、超特大スピーカーでMiles Davisを聴き、
彼らの友達と仲良くなり、
帰り道、
その町を、
自転車を飛ばしながら、
夏の夜風が気持ちいい中、
車は殆ど通らない、人気も殆どない町の中を、
さーっと、駆け抜けて、田んぼの脇道を通って、
家へと帰る。





こういう瞬間ていうのは、
今しかなく、
今から数年後、
はたまた数十年後には、
今日みたいな日のことを、
もの凄く、懐かしく、
「ああ、あんな時があったなあ」と、
懐かしく、思うんだろうな、と。









その土地で、
新しい人々と会い、
その人たちと仲良くなり、
その人たちと食事をともにし、
彼らの家へお邪魔して、
彼らの生活を垣間みる。



そういうことをしたとき、
そういうことができるとき、
俺は、何だか、
この人生の、はかなさというか、
素晴らしさとともに、
その、「諸行無常」的なことを、
強く感じてしまう。



*****



アメリカであれば、
年齢が違えど、
例え、自分の親父と同じような年齢の人とでも、
「友達」になれる。


今回のOさんとの出会いは、
結構、それに近いものがあり、
それを、また嬉しく思う。



彼は今回、
「また今度は、10月頃にやろうや」と、
何回も嬉しそうに話してくれた。


彼が、今日のために、
料理を用意して待っていてくれたことを思うと、
何だか、胸に来るものがある。






俺は来年以降は、東京へ戻るけれど、
たまにこっちに出張で来る際には、
ぜひ、彼とも定期的に会うことができたらいいな、
と思う。


その時は、また、
好きな音楽を聴きながら、
音楽や、アートや、
小説の話をしながら。






*****





Oさんとの出会いに、感謝。





2012/8/11 0:59

















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