July 31, 2012 20:40

「なぜ、仕事ができる人は残業をしないのか?」by 夏川 賀央

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ソフトバンク クリエイティブより、
2007/3/27初版発行。

******

感想。
ぱっとしない本。

タイトルに惹かれて本を取るや、
中をぱらぱらと捲り、
確かに、頷けるところ、
学べるところはあるが、

この本の問題点は、
「著者自身が、
自分がタイトルを付けたその内容自体に対する、
明確な答えを持っていない」
ということ。

なので、読んでいて、
彼の意見がダラダラと書かれているだけだし、
毎回主張がコロコロと変わるので、

「で、結局あなたの言いたいことは何だったの?」

と聞き返したくなる。

*****

彼はそもそも、
「仕事ができる人は〜〜」
というタイトルで、各章の目次を作っているが、
この本の最後の方では、

「そもそも、仕事ができる人とは、
どんな人か?」
という哲学的な問いかけに内容がシフトチェンジして行く。

そして彼の出す結論は、

『「仕事ができる人」は、
自分のことを、「仕事ができる」とは思っていない。』

同時に、

『「仕事ができるかどうか」は、
自分自身が判断すること。』

という。

そして彼自身は、
『私は、今まで仕事ができる人に憧れて彼らの研究をしてきましたが、
未だに自分は、「仕事ができる人」にもなっていないのです。』
と、本の中で言う。




「仕事ができるかどうか」は、
自らが決める。

で、(本当の意味で)「仕事ができる」人は、
自分のことを、「仕事ができる」と思わない。



???


言いたいことは分かりますが、
そもそも、このタイトルを付けるなら、
シンプルに、
「誰がみても仕事が出来る人とはどんな人か?
そして、そんな人とは、
どんな仕事の仕方をするのか?」

の具体的な例を、挙げて欲しいと思う。

彼がこの本の中で挙げている、
「仕事ができる人」の習慣は、

「直ぐにメールを返す」
「残業をしない」
「異性に優しい」
「交通費請求をまめにする」
「”案外と悪口を言う”」

など、
結局は、他の本でも書かれている様な内容で、
それに対する掘り下げが、浅い。

そして気に入らないのは、
自らの経験ではなく、
他人が書いた本からの言葉を多数引用して、
それであたかも、
”彼が思う”「仕事のできる人たち」は
こうしていますよ、
という、列挙にすぎない、ということ。


*****


もちろん批判だけではなく、
学べるところもあった。

例えば、
仕事ができる人は、
会社にいる時間も全て、
「自分自身の時間」と考え、
「拘束された時間」とは捉えない。


同じ会社の中といえども、
「自分」という人間の周りは全て、
「お客様」と考え、
「自分一人の会社」を運営する自分が、
その中でどう働くか、
という視点でいる。


仕事ができる人は、
何にでも興味を持ち、
全てを知りたがろうとする。
その好奇心が、
その人を成長させる。


仕事が出来る人は、
自分のことを大切にするし、
相手のことも気遣い、
自分が最大限できる、相手に対する誠意を示す、
など。


*****


まあまあの本でした。

2012/7/31 20:40



補足:

俺がこの本を「まあまあの本」と思った理由は、
読み終わった後に、
「ああ、楽しかったぜ!」なり、
「こんなに沢山のことを学んだぜ!」
という爽快感がないから。

本を書く人間は、
自分の書く内容に対する、
明確な「持論」を持っていなければならない、
と俺は思う。

例えその「持論」が間違っていようと、
それはその人の、「考え」であり、
「主張」なのだから。


俺が嫌いな本は、
書いている著者自身が、
そのテーマに対する明確な
「自分なりの」答えを持たず、

「この本では、◯◯さんはこう言っています。
一方、◯◯さんは別の本でこう言っています。」

みたいに、
「どっちの考えもあるぜ」的に、
両方のサイドを見せて、
で最後に、
明確な結論を出さずに、本を終えて行くタイプの著者。


これでは、「哲学の授業か?」と問いたくなる。


なので、こういうスタンスで書かれた本は、
基本読んでいて、イライラして来る。


*****


だから俺は、
例え意見が偏っていても、
その意見が、
「オレはこう思う」とハッキリとした作者を好むんだろうね。

または、完全にその人のオリジナリティが確立している人の作品を読むんだと思う。








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