July 21, 2012 09:56

「池上彰のやさしい経済学―2 ニュースがわかる 」by 池上彰

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非常に分かりやすい内容でした。
2011年の講義を元につくられた内容。
先日読んだ「池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる」
の続編。
日本経済新聞出版社より2012/4/14に初版発行。

*****

今回の内容のテーマは、

・インフレとデフレ
(合成の誤謬:fallacy of composition)
〆眄政策(fiscal policy)
 金融政策(monetary policy)
・日本のバブル景気(Japanese asset price bubble)がどのように起こり、どうはじけたか
・1ドル360円から現在の1ドル70円台までの流れと背景
・年金問題、消費税問題、赤字国債問題
・リーマンショックが起こった背景
・戦後日本経済史

などです。

今まで自分は経済学に疎く、
特に財政政策や金融政策、
バブルの起こった背景や、戦後の日本経済の動きなど、
全く理解せずに生きて来ましたが、
その基礎が良く分かりました。

*****

今回個人的に学んだ内容。

・〆眄政策(fiscal policy)の内容(1. 公共事業 2. 減税)

・金融政策(monetary policy)
  公開市場操作の内容
1、買いオペ=金利を下げる。
  日銀が、銀行が所有する国債を買い、紙幣を刷って銀行の持つお金の量を増やす。するとコール市場でお金を借りたい銀行が出た時に、沢山の銀行がお金を持っているので「供給>需要」となり、金利が下がる。

2、売りオペ=金利を上げる。
  日銀が保有する国債を銀行に売り、銀行の持つお金の量を減らす。するとコール市場でお金を貸せる銀行が減り、「供給<需要」となり金利が上がる。
 
政策金利(こうして中央銀行(日銀)が政策的に上げたり下げたりする金利のこと)

・バブルが起きた(というか、アメリカが日本を操ってそれを起こし、かつはじけさせた方法と、その)背景
プラザ合意

IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)
及び世界銀行(World Bank、略称:WB)のできた背景
(1944年7月、ニューハープンシャー州にて定まったブレトンウッズ体制により、
ヾ霄環眠澆鬟ぅリスポンドアメリカドルに変更
金1オンス=35ドルに固定
IMF創設
だこΧ箙堊論
の4点が決定した。)

・冷戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争の起きた背景

ニクソンショック

・年金制度の仕組みと、現在それが崩壊している理由
(主に官僚が、年金用のお金を株投資で失敗させたことと、グリーンピアに代表される天下り用の施設を作り、経営を失敗させたこと。)

・1952年前後、銀行に不足しているお金を国民から集める為に、政府が「貯金はいいことだ」というマインドコントロールを日本国民に行ったこと

*****

それにしても、年金問題に関しては、
考えれば考えるほど頭に来ます。

どうして、当時の官僚たち、自らの私欲のことしか頭にないオッサンたちが、
国民が年金用に貯めたお金を勝手に使い、
それで破産して、お金をなくしたのに、
そして、それにより、現在借金(赤字国債)が増えているのに、
それの穴埋めを、更に国民がしなければならないのか。


この本では、例えばデンマークの例が取り上げられています。

消費税が25%の代わりに、
医療費は全て無料、
国民の教育費も、大学まで全て無料なので、
国民は、老後の為にお金を貯めておかなければ、
または、子供が生まれた時の教育費の為にお金を貯めておかなければ、
という不安も一切なく、
みんなが安心して自分の所得を使えること。
そして、消費税率が高いと感じることもないこと。

(結局は、日本人が『お金が必要、貯蓄が必要』と考える最大の理由は、
〇匐,龍軌虍顱´現役及び老後の医療費
の二つなわけだから。それが100%保証されていれば、
国民は安心して生きて行けるというもの。)


このような「高福祉高負担」の北欧諸国に比べ、
日本では、「中福祉低負担」であること。

しかし、現在頻繁に話題に取り上げられる消費税増税案にしても、
国民から政府が吸い上げたお金を、
「どのように、何に使うのか」
が明確に示されないからこそ、
日本国民は、その時の感情や、
マスコミの表面的、煽動的な裏のある報道や、
「よく分からないけれど、隣のあの人もこう言ってるから、俺もこう考えよう」
的な、結局は、
「政府の動向、考え」を吟味せずに、
「誰かに踊らされて」、
国の政策が勝手に決まって行くのを、ただニュースを見て知るだけな訳です。


*****


そもそも日本国債とは、
”日本政府の日本国民に対する借金”である。

『日本の場合一般に国債=借金というイメージが強い。もしくは、その様に報道されるため強くなってしまっている。 一部に国債=株券、国債金利=配当が実情に近いと主張するものもいるが、国債金利は赤字財政でも強制的に支払う義務があり、その意味で”国債は国の借金”という言い方は当を得ている。 しかし、日本国債の場合、その借金の相手は日本国民であり、外国に対して借金があるわけではないため、”日本国債は日本政府の日本国民に対する借金”とするのがより正確な表現である。』
(Wikipedia「国債」のページより引用)



なぜ、自分勝手なオッサンたちが勝手に人のお金を使ったあげくに、
そのオッサンたちのツケを、さらに国民が払わなければならないのか。

日本国債は、約1000兆円のうちの内94%は、
国内で消化されている。
つまりは、国民が銀行に預金したお金で、
銀行が政府から国債を買うか、
または、個人が政府から国債を買っている。
そして国民は、国債を買った分、
その分の消費(その分のお金を使うこと)を我慢しなければならないという仕組み。

つまり、
「国が、国民から借りたお金(国債)に対する利子を払う為に、
更に増税をして、国民からお金を吸い上げて、
それで国民に借りたお金の利子を、国民に返そう」としている。

その点を「おかしい」と指摘する人もいるが、
世間一般では、特に指摘がされない。

なので、これは「おかしい」とする言い分が正しいのか、
それとも、マスコミが一般的に流す意見(国債の借金を返すのに、国民から税を取ってそれで返済する、という主張)が正しいのか。
明らかに後者の主張は矛盾が入っているが。

そして、その矛盾が起きていることに対して、
世間では一切批判がなされない挙げ句に、
「国民1人あたり400万円の赤字」
「このままではギリシャの様に国家が破綻する。デフォルトが起きる。(←実際には日本政府が日本国民から日本円で借金をしており、海外から海外の通貨でお金を借りているわけではないので、デフォルトしようが無い。)」
などのようなフレーズだけが言われることにも、
自分は理解ができない。



『現代においては、国家への融資であることから(国債は)比較的安全な投資であるとされる。 2000年にアルゼンチンがデフォルト(債務不履行)を宣言している例がある。 これはアルゼンチンがアメリカから、アメリカ・ドル建てで借りていた債務(公的対外債務)が 支払い不可能に陥ったためにデフォルトを宣言する事態になったのであって、 日本のように自国民から自国通貨建てで借金している場合は形式上デフォルトはありえない(ハイパーインフレによる事実上のデフォルトはありえる)。 国家が債務不履行に陥るのは、外国から外国通貨建てで借金している場合である。』
(Wikipedia「国債」のページより引用)




『よく使われる喩えに、年収420万円のサラリーマンが4500万円の住宅ローンでマンションを買ったものの、生活費が足りず年間 360万の借金をして暮らしている窮状のようなものというのがあるが、この喩えは「日本国政府」に対する例えであって、「日本国」に対するものではないことに注意する必要がある。』
(Wikipedia「日本国債」のページより引用)


*****


更には、肝心な点として、
「じゃあどうしたら良いのか?」の対策方法も、
よく分からない。


仮に、消費税が増税され、
10%に引き上げられました、と仮定する。

しかし、それでも、
今の日本の赤字国債により積み上げられた借金を返すことはできない。
それに、借金を返してばかりではなく、
増税により、更に所得の減る国民に対する還元方法を、
どうするのかも、よく分からない。

政府(野田首相)は、
「社会保障と税の一体改革」と言うが、
その内容が、全然よく分からない。

どうして、日々のニュースで、
色んな新聞やネット上でのニュースに目を通そうが、
そんなシンプルな問いに対する答えが、
書いてないのか。
すぐに分からないのか。

それが自分には理解できない。

政府は、
「私たちは、あなたたちからこれだけの額のお金を取ります。
そのお金を、これとこれに使います。
そして、社会保障とは、これとこれを指します。
つまり、増税をしたら、
これらの点を、こうやって改善するのです。

そして同時に、あなたたちが私たちを信頼しないのは、
私たちが、あなたたちから頂いたお金を、
不正に使っていると思っているからでしょう。

私たちの給与は、いくらで、
誰々は、いくら貰っています。
その給与に対する見返りとして、
私たちはこんな仕事を、毎日しています。
今年の結果はこうでした。
前年度に対して、何%の目標達成です。
それにより、国の経営は、良くなりました(or 傾きました)。

成功をした原因はこうです。
失敗をした原因はこうです。
それを改善、もしくは来年は更に良い方向に変えて行く為に、
こんな政策を立てています。」

と、どうして、こう分かり易く、
国民に話ができないのか?

だから、政治家は信頼できないし、
「あなたたちはバカですか?」
と言いたくなってしまうわけであって。

*****


とにかく、自分の所属する会社(日本)の幹部たち(政治家、官僚)
の考えていること、及び経営方針が、
社員たち(国民)に理解できなかったから、
社員は動きようがない。

そして、その会社の経営方針に幾ら腹を立てて、
それを改善しようとしても、
上の方にいる幹部が全く動こうとしなかったり、
または、自分の会社の経営を変える為には、
幹部になるしかなかったとしたら、

そして、幹部になる方法は、
既に子供の頃から、レールが決まっているとしたら。

その場合、段々と社員は、
「もう、会社の経営方針なんてどうでもいいや。
とにかく、俺は明日の我が身だけが大事だ」と、
会社の経営に全く興味を示さなくなる。


そして、興味を示し、動こうとしても、
それがどうにもならない場合、
結局社員は、段々とやる気を無くして、抜け殻のようになって行く。

*****

そんな日本国株式会社の現状が、
見えて来る本です。

そして、全ては第二次世界大戦後、
ジャイアンの様なアメリカが自分の国に利益が出るように、
自分勝手に経済政策を行った結果、
周りの国は翻弄されまくっているだけじゃないか、
という実態も見えて来ます。


結局、この世の中は「お金」を中心に回っており、
それに群がる人間たちが、
いかに自分に利益が出るかを考えて、
政治も、戦争も、会社の経営も行われている。

そんな実態が見えて来ます。

*****

今までは「歴史」を見る際に、
余りその中心に基づく「経済」の観点から
それを見て来ませんでしたが、
こうして、「経済」の考えと流れを理解しながら、
その上でこの100年前後の世界の動きと、
その歴史を見ると、
なぜ、それがそのタイミングで起きたのか、
ということがよく見えて来ます。


自分は今まで驚く程にそういったことに興味がなかったのですが、
最近はこの点を知りたいという欲が非常に強くなっています。

そんな、初心者な人間には非常にお勧めの本です。


2012/7/21 12:08


追記:
そして同時に、
この世の中は全て、「経済」を中心に回っていることから、
それを理解せずに、
ただ「政治が今後どうなるのかが良く分からない」
「景気がどうなるかが良く分からない」などの
無知から来る不安ばかり抱えて生きることほど、
虚しいこともないと思います。

この世の中を動かすルールをきちんと理解して、
その上で自分の行動の選択を取るように、
したいと思います。

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