July 01, 2012 18:28

「窓の外の風景」


昔、2005年の7月、
アメリカ一周の旅をしているとき。


アムトラックの列車に乗り、
列車の中で、寝泊まりをしていた。


確か、ユタ州か、コロラド州の辺りを走っているとき。


その時、俺の横には、
初老の女性が乗っていて、
その人と、色々と話をしていた。



俺は、日記帳を持っていて、
やる事はそれに自分の気持ちを書くことしかなかったので、
ひたすら書いていると、
大体の人は、
「何を書いているの?」と話しかけてくれた。

彼女も、その内の1人だった。


*****


彼女に、「あなたはところで、何をしているの?」
と聴かれたので、
自分は、日本からの留学生で、
今は留学して3年が終わったところで、
まだカリフォルニアしか見ていないので、
アメリカ全体を見たいと思って、
こうして旅をしている、と告げた。



すると彼女は、こう聞いた。


「ところで、あなたは幾つ?」



21歳です、と答えると、

「このような形の一人旅をするには、
ちょっと若すぎるんじゃないの?」

と言われた。



確かに、一人で、
ただひたすら、
列車の外の景色を眺めて、
自分の過去のことなどに思いを馳せているヤツなんていうのは、
普通、21歳ではいなかった。


俺の周りには、
彼女の様に、
そろそろ定年で、リタイアをしたばかりの人たちばかりしか、
旅をしていなかったから。


*****


その彼女が、ある朝、
俺に何かのフルーツをくれながら、
こう話してくれた。



「若い頃はね、
きらびやかなもの、
豪華なもの、
派手なもの、

そういったものに、
感動したり、心を奪われたりするんだけど、

私のように歳をとると、
自然の中にある、
何でもないような、素朴な景色を、
なによりも綺麗だと、思う様になるのよ。」



そういって彼女が指した窓の外には、
まだ朝もやがかかり、
先ほどやっと出て来た太陽の光に照らされて、
薄緑色に輝く、
何の変哲もない、草が生えた畑が広がっていた。




*****



その時の彼女の台詞と、
その窓の外の光景は、

未だに、ふとした瞬間に、
よく思い出す。





*****



さっき、母親に、誕生日のお祝いの電話をして、
少し話をして、

その後、自分の部屋から見える、
外の景色を眺めていたら、

そして、外に広がる、
山にかかった薄紫の雲、
その切れ目から除く、黄金色に光った夕日、

そして、目の前に広がる田んぼと、
その横を流れる、水路の水の音、
遠くで鳴く、虫の声などを聞き、


7月頭の、この、
涼しい、気持ちいい風を肌に感じていたら、




あの時の、その女性の言葉と、
その光景と、

その、「雰囲気」を、思い出した。




*****




こういう、「瞬間」を味わうとき、

俺は、人生は、
かけがえのないものであると思う。




2012/7/1 18:28











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コメント一覧

2. Posted by shun   July 01, 2012 20:53
Thank you.
1. Posted by Qp   July 01, 2012 20:38
Simply beautiful. This post is, also your life is.

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