June 30, 2012 19:28

「現代版 魔女の鉄槌」by 苫米地英人

20110616G195


題名と装飾からして、怪しそうな雰囲気満載です。
なぜこうも、彼は怪しい雰囲気の本を作り出すのでしょうか。
図書館でリクエストする際に、何かいけない本をリクエストしている様に感じるのは、僕だけでしょうか。

2011/6/29の初版発行。
フォレスト出版より。

*****

内容は、前半半分が、かつて中世ヨーロッパで出版された、
「魔女に与える鉄槌」という本と、
「魔女狩り」がなぜ、17世紀末まで続いたかに関して。

後半は、フェイスブックやツイッターが世界に与える影響、
及び、それを扱い、権力者がどのように世界を変えらるかに関して。

*****

前半の部分では、1486年に出版された、「魔女に与える鉄槌」という本の内容と、その背景に関して触れます。
主に、キリスト教の派生と、それを権力者がどのように扱ったかの、歴史とその裏の解説です。

キリスト教に関する書物で、キリスト教の教祖はイエスキリストであったものの、
それを開祖した人物は、パウロであると言われている。
(実際、キリストが死んでから、パウロがキリストの教えを、「イエスの教えはユダヤ教とは異なるものだ」と、まとめたため。)

しかし、更に奥を調べると、
本当の意味で聖書を編纂したのは、
コンスタンティヌス大帝(一世)である、と。

彼は、当時のローマ大国を纏めるために、
313年にミラノ勅令を発布し、
キリスト教という宗教を使い、
人々を統治することに力を注いだ。

その後、14世紀の半ば、
教会や聖職者が乱れ、
かつ、「教会ありき」としてきた教えに反対する人々も生まれ、
「教会」という形で政治力を持って来た上のものが脅かされるようになったとき、

そして、同時にペストが大流行したとき、
(当時のヨーロッパの人口の1/3から1/2に当たる2000万〜3000万の人々が死亡したと言われている)、

人々の混乱と恐怖をうまく使い、完全な敵となる、
「何か」の存在を作り上げることが必要だった。

それが、「魔女」であり、
同時に、その頃初めてグーテンベルクの印刷の技術が生まれ、
それによって出版された「魔女に与える鉄槌」(それまでは印刷された書物は存在しなかった)により、
人々に強い影響を与えた。

著者は言う。
人間というのは、印刷された文字を見ると、
その内容の情報元が正確か否かは別にして、
それを信じてしまう傾向がある、と。


そうして、「魔女」という、
もちろん当時の権力者が作り上げた、
分かりやすい「敵」像をでっち上げ、
それに人々の怒りや憎しみ、混乱を向け、
世界をコントロールした、と。

******


(ちなみに著者は、
「宗教」とは、いかに、常に政治と権力に取って都合の良いものに作り変えられるかを説きます。
キリスト教も、パウロという、大人しく控えめな考えを持つ人間の考えが色濃く反映されており、それがコンスタンティヌス大帝が、ローマを治めるのに役立ったし、
アジアを占める儒教に置いても、やはり上の権力者にとって都合の良い宗教である、と。

例として、儒教の最も代表的な存在、孔子の弟子たちがまとめた「論語」だが、

『子の曰く、吾れ
  十有五にして学に志す。
  三十にして立つ。
  四十にして惑わず。
  五十にして天命を知る。
  六十にして耳順がう。
  七十にして心の欲する所に従って、
  矩を踰えず。』 

の内容も、「奴隷の教え」であると説きます。
(これは読んでいて笑った。)

「四十にして惑わず」では、
色々な可能性を考えることなく、一つの価値観のみで生きることであると。
つまり、惑わずに奴隷の道を歩め、と。

「五十にして天命を知る」では、
当時の「天」は皇帝を間接的にさす事から、
天命を知るとは、皇帝の命令を自ら進んで理解して行動することである、と。

そして、「七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず」は極めつけだと。
つまり、奴隷の人生を70年間続ければ、
何をやっても、奴隷の粋を外れなくなる、ということだと。

この教えによって出来上がった、
聡明、勤勉、かつ命令を聞く人間が、
どれほど権力者に都合の良いものだったか、
私たちはその点に注意を傾けなくてはいけない、と。

これは読んでいて最初は笑いましたが、
落ち着いて良く考えてみると、
「なるほど」という感じです。

儒教国では未だに、親よりも良い会社に入ってはいけないし、
親が死ぬまで親よりも良い暮らしをしてはいけないという考えが根強く残っていると。
日本は明治維新以降に西欧の民主主義が輸入されたので、
今の日本人はそういう考えを強く持ってはいないものの、
江戸時代の日本人にとっては、それを守ることが真っ当な生き方であった、と。)


******


さて、著者は本の前半を使ってその歴史を解説した後、
では、今の時代において、当時における「魔女に与える鉄槌」に当たる、
その「道具」とは何かを解説します。

それは、フェイスブックやツイッターであり、
これにより、権力者は世界を支配することができる、と。


彼曰く、チュニジアで起きた暴動で、
最初は一人の若者のフェイスブック上のつぶやきが、
全ての改革を起こした、と言われていますが、
その「若者」とは、
現地のドメインを使用したCIAの工作員であった、と述べます。

中東の現地人の多くは未だにパソコンとは縁のない生活をしており、
一部の裕福層知識人はパソコンを持っているものの、
それらの人間は体制側(権力を握り現在の社会を支配している側)の人が殆どである、と。
例えそうでなかったとしても、フェイスブックなどを使って堂々と独裁妥当を表明すれば、
自らの身が危なく、やらないだろうと。


また、以前アメリカがイラクに侵攻し、
フセイン大統領を捕縛したころのCIAも、”演技”を行う事が大半の仕事であった、と。
当時流された、イラクの民衆がフセイン大統領の銅像を倒す写真を見ると、
そこに写っているイラク人は、違う日に別の場所で撮影された写真にも写り込んでいた、と。
その様に、イラク戦争の写真の中に見つけられる、そのような同一人物は、
一人や二人ではないとのこと。
これが、CIAの工作員でなく誰であろうか、と。

また、1989年のベルリンの壁崩壊の際にも、
やはりCIAが工作をして、西の情報を東に流し、
壁を崩壊させるシーンでも、その人々の中の数名は、
CIAの関係のものであった、と主張します。

*****

また、彼は他の本でも述べていましたが、
ツイッターやフェイスブックで人々が話題にするオバマの統計と、
実際のオバマの支持率は一致する、と。

よって、フェイスブックやツイッターの中身をいじってしまえば、
誰を大統領にするかも、簡単に操れる、と。

*****

彼は、ツイッターの持つ力の強さを注意します。

言わば、ツイッターは140文字以内で意見を述べることから、
自分の主張に対する、事実(データ)と、根拠(ワラント)を示さずに、
ただ、自分の主張(クレーム)だけを通す形になります。

通常何かを主張する際には、
 屏◯の情報により」、
◆屏◯なので」、
「私は◯◯と思う」
という構成が必要なのに、

ツイッターでは、
,鉢△鬚垢暖瑤个靴董↓だけをただひたすら主張する、と。

そして、人というのは、より多くの回数、
それに触れたり、その人の顔を見かけたりすれば、
それやその人を好きになる傾向があることから、
例え根拠のない間違った主張でも、
それを何度もリツイートで見るたびに、
段々と「それはそうなのかな」と信じて来てしまう、と。

*****

また、最近のテレビやニュースの解説番組で見られる様に、
二人の人間が討論なり解説なりをしている横で、
何も意見を求められていないタレントが一言、
急に言葉を挟むスタイルが増えて来ている、と。

例えば、
管さんの政治の仕方に関して、いかに肯定的な内容を主張していようとも、
「管さんにはやっぱりできなーい」とタレントが一言横から挟むだけで、
それまで論じて来た内容がいかに管さんを支持するものであったとしても、
管さんに対するイメージがその一言で一気に崩されてしまうし、

何かの食べ物に関して二人が解説をしているところに、
「すっごくおいしそーう」と挟むだけで、
見ているこちらは、「うん、確かにおいしそう」と思ってしまう、と。

その様に、「第三者」=「テレビの視聴者、私たち」に近い立場に見せかけて、
根拠の無い主張を入れるだけで、
それがあたかも本当かの様に見えて来てしまう、と。

これは、ツイッターに見られる性質であり、
最近のテレビでも確かに良く見かける。


*****


著者はここまで解説して何が言いたいかというと、
今の時代は、目に見えない場所で、
権力者が、自分たちの都合の良いように、「敵」を設定し、
それが、いとも簡単にそれらのソーシャルネットワークによって動かされてしまう、と。
そして、それらの権力者の意図に反し、それを阻止しようとする良識派は、
必ずその的にされ、消されて行く、と。

また、今までは、自分が、物事を「こう思う」理由は根拠は、
必ず、自分の育った環境、自分の今までの先生、親の意見など、
自分に身近な人々からの影響であったことがハッキリしていたので、
その自分の意見や考え方の元を辿るときは、
その「元」が見えていたのに対し、

今では、自分の周りに溢れる「意見」の出所が、
一体どこから来たものなのか、見えなくなって来ている、と。
(それはもちろん、ツイッターやフェイスブックなどのSNSや、
インターネット内の情報など、情報源が不定の情報が増え続けているから。)

だからこそ、それに踊らされない様にすることが大事、という。

しかしながら、権力者が「敵」を設定する場合、
その「敵」とは、彼らにとって不都合になる存在である場合であり、
その権力者たちが究極的に欲するものは、
「権力」であり、「金」である、と。


よって、普段テレビを見たり、何かに触れる際にも、
「お金儲け」というこちらの欲をそそる様な内容には、
一切反応しないようにすれば、
逆に、それに引っかかることも殆どないので、
安全な時代でもある、と言う。

つまり、「この内容は、結局は金儲けに繋がっているな」
と気づき、それに対して無反応になればいい、と。


*****


と、言いつつも、
苫米地さんも、しっかりと自分の他のソースを使って、
「無限の富を得る方法」とか唄って、
色々と売っているから、そこの矛盾が突っ込みどころ満載です。



ただ、彼の著作は、
書き方が非常に理路整然としていて読み易いし、
かつ、話題にされる内容が、
経済、金融、歴史、哲学、数学、物理、宗教、言語など、
多義に渡り、
かつ、その背景に関して、彼の想像が入っている所も多いが、
中々興味をそそる様に書いてあるので、

彼の本を読むと、自然と色々な事に興味が湧くから、
それが好き。

彼女には、「彼の本ばっかり読みすぎないようにね。洗脳されないでね」と大分心配されていますが。

2012/6/30 18:18



*****



追記:

彼はこの本の中で、
2009年6月にイタリアとスイスの国境で、
1345億ドルの米国債を詰め込んだ鞄を所持する日本人二人が、
イタリア当局に拘束された事件について触れます。

これはずばり、天皇家のお金で、これを自民党の選挙資金に使う為に運んでいて、
それが捕まり、自民党の選挙資金がイタリアで止められたのだろう、と。

(拘束された二人のうち一人は、自民党政権時代のある財務大臣の弟であり、
また、13兆もの米国債を所有している日本人がいるとすれば、それは天皇しかいない、と。
天皇家の銀行口座は、戦前からスイスのバーゼルに本部があるBIS(Bank of International Settelements)に設けられているとされている、とのこと。)

また、上のニュースが流れたと同時に、
それまで、
「空中戦(マスメディアでの露出をガンガン増やして、選挙に向けた運動をすること)はやらない」と言明してきた自民党の幹事長が、突然に宗旨変えを行い、空中戦を始めた、と。

元々自民党はメディアを使わずに、選挙区にお金をバラまいて票田を刈り取り、選挙戦に買って来た。
それに対して、野党時代の民主党は、選挙資金が十分に無いことから、バラエティ番組などのメディアに頻繁に露出して、マスコミをうまく使い選挙活動をしてきた、と。
そして、イタリアで選挙資金を止められた自民党は仕方なく、選挙活動の方法を変えた、と。


そして、このニュースは、一度だけ放送された後(日本では殆ど触れられなかった後)、
全世界でこのニュースに関する報道は、その後一切されなかった、と。


彼曰く、この様に不可解なニュースが流される時には、
必ず裏にメッセージが隠されており、
この場合には、このニュースは世界に向けたメッセージであり、
「ヨーロッパの銀行家たちは、今後、民主党政権が誕生する事を選択する」
という内容だったに違いない、と。
そして、民主党政権誕生の流れは、
この不可解な国債ニュースが配信された時点で決定していた、と。

*****

さて、これが真実か否かは分かりませんが、
下がその時のニュースに関する映像。


一番最後のNHKのニュースでは、「押収された、額面5億ドルの債権。これほど高額なアメリカ国債は、過去に発行されたことが無く、偽造と見られます」と言い切り、画面のテロップでも、「発行なし 偽造か」と出しているが、これは完全な嘘。



海外の番組。





******


追記:(2012/7/1)

この本の中で、「臨場感」に対する説明がある。

「より強い臨場感を持てば、その世界に対する理解はより深くなります。
それに対し、より弱い臨場感を持つ人は、それが比較的に浅くなります。」

「勉強ができる、できないという問題は、
すぐれてその世界により強い臨場感を感じることができるかどうかという問題なのです。
人並みの臨場感を感じている人と、
非常に弱い臨場感を感じている人との間に、雲泥の差が生じるわけです。」(p148-149)


これは、正に言えていると思う。
要は、自分に取ってそれが、いかに重要か。
そして、その世界をいかにリアルに感じられるか。
それにのめり込めるか。

それで全てが変わって来る。







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