June 29, 2012 21:01

「テレビは見てはいけない」by 苫米地英人

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さあ、またしてもエクストリームな題名です。
この本を持って外で読んでいたら、
周りにいる人に必ず突っ込まれそうな題名です。

2009/9/16の初版発行。
PHP新書。

*****

本の内容は、後半半分は、全て他の本で彼が述べていることです。
そして、前半半分に関しても、彼の最近の著作、
「電通 洗脳広告代理店」で触れていることを、軽く触れている程度です。
つまり彼は、この本で2009年にさらっと触れていた内容を、
更に深く、「電通〜」で掘り下げたのでしょう。

(後半部分の最後の方で言えば、「君は1万円札を破れるか?」「経済大国なのになぜ貧しいのか?」で述べていることに関して、やはりサラッと触れています。)




彼が、この本の題名で「テレビは見てはいけない」という言い分は、こうです。

「テレビとは、番組を作る一部の権力者、または放送作家によって内容が全て決められているから、見ている内に無意識の間に、脳がそれしか考えなくなる。
よって、テレビを見る際には、『その番組の作り手(ディレクター)は誰なのか』、『その作り手(ディレクター)の今までの作品はどんなものがあるのか』、『それによりその作り手(プロデューサー)たちは、どんな利益を得るのか』、『逆に、この番組によってダメージを受ける人は誰か』等を考えながら見ないと、知らぬ間に思考の内容を操られて終わってしまう」。



また、彼は日本のテレビ内容が、日本国内に向けてしか視野が置かれていない事を嘆きます。

日本のテレビ番組を作るのは、放送作家と呼ばれる数百人の人間たち。
しかもその内の20〜30人しか、日本のテレビ界の中心で活躍をしないので、
その数十人が、日本国内に流れる流行、お茶の間の話題、世論などを作り上げている、と。

しかもその放送作家たちは、英語を苦手とするため、彼らが次の放送で流す内容を拾って来る先は、国内のニュース、雑誌、新聞でしかない。
それも合重なって、益々日本のテレビ内容は、国内のことしか対象にされない、と。

(ちなみに2012年6月29日現在、日本国内のニュースは、消費税増税案に対して反対する小沢氏の動向と、それに対する「けしからん」的な趣旨の世論しか流されていない。日々、そのニュースばかり。国内の他のニュースは元より、国外のニュースは殆どと行って言い程報道されない。

福島の原発事故のその後のことも、エジプトでムバラク政権が崩壊してイスラム勢力のモルシ氏が大統領に選ばれたことも、シリアで難民が増えていることも、そんなのはどうでもいいらしい。結局、国内のニュースは、全てが操作され、国民が「今」「何」に意識を向けるかも、他人によって決められている。)


******


彼はこの本の中で、日本国内の閉じられたメディアによる視野の狭さを壊す為にも、海外のメディアで英語で流されているニュースを見て、それにより、「外国のメディアが何を今話題にしているか、また、海外のメディアが、日本のことをどのように報道しているか」を見る事を薦めている。

これは俺も実際にやっており、海外のニュースを見た後に国内のニュースを見ると、いかにその対象の幅が狭いかが分かる。

(これは、留学中にも良く経験した。1年〜2年に1回の頻度で日本に帰って来ると、日本国内で流れているニュース、及び番組の内容に、違和感を感じていた。いつも、日本ではその時の「流行り」があり、どの局もその「話題の内容」しか流さない。しかも質が悪いのは、日本国内には、チャンネルがほんの数個しかないこと。その数個の局が、よってたかって同じ内容ばかり流しているのだから、見ているこっちは、「日本のテレビはアホなんじゃねえか」と真顔で突っ込むしかなかった。

また、今もCNNなどを通して海外のニュースを見ているが、たまに報道される日本に対する報道では、日本国内での報道とは全く別の視点から話されている。
大体は、日本国内でいかにも重要かの様に話される政治劇は、国外から見たらどうでも良く、むしろ、肝心の問題の論点が、日本国内では一切話されないのに、海外の報道では、ずばっと話されている場合が多い。


上に挙げた、「いかに日本のテレビの内容は閉じられた世界か」に関しては、日々、幾つかの新聞に目を通す事でも、その傾向を垣間見ることができる。
日経新聞は、主に上場している大企業の動向しか報道しないし、読売新聞は政治のことしか話さない。俺が今住んでいる県が発行するローカル新聞では、上場企業や政治の事は置いておいて、この土地で収穫されたメロンのことがトップ記事になる。
これは、別の国にいてもそう。その国の、その土地で一番重要な事が、その地域のトップニュースになる。

しかしながら、
全世界の人々が持つ、「結局は自分の土地のことが一番のニュースになる」というその性質と、
日本のテレビ内容が「日本国内のことのみ」しか流さないという現状が、昔から一切変わって行かない、ということは、別問題である。

現代はますます国際化しており、これだけ、「日本人はグローバル化しなければならない」「グローバル人材がどうのこうの」と騒がれているのに、それでも、日本のテレビ局が流す番組は、殆どが日本国内のネタと、お笑いばかり。見終わった後、「だから何なの?」と言いたくなるものばかりである。)


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ということで、俺の個人的な意見が勝手に入ってしまったが、
この本で著者が言いたい事は、
別に、「テレビは絶対に見てはいけない」という意味ではない。

要するに、「この世に存在する全てのテレビ、ラジオ、新聞、本、それらのものには、それを作る人間の意図が隠されているのだから、それを理解した上で、それらに接する様にすることが賢明ですよ」ということ。そうすれば、世の中の物事がより立体的、複眼的に見えますよ、ということ。


この意見に反対する人もいれば、賛成する人もいるでしょう。

俺はただ個人的に、テレビが嫌いだから見ないだけだけど。


2012/6/29 20:56



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PS. この本の後半は、上にも述べた様に、彼の他の本で話している内容ばかりで、題名とは殆ど関係がない内容となっている。
その中で、「コンフォートゾーンから外れるとIQが下がる」という内容がある。

人は、自分のコンフォートゾーンから外れると、
言わば、昔の原始人の時代に、獲物を追いかけて狩りをしている状態、
つまり、交感神経が活発になり、緊張している状態に戻るので、
脳の一番動物に近い部分である、扁桃体や中脳が反応して、「動物」に近くなる、と。

そのとき人は、より攻撃的になるか、防衛的になるかのどちらかである、と。

そのために、客観的に俯瞰して状況を捉えることができなくなり、IQが下がる、と。


これは、正に言えてるなあ、と思った。
(だからこそ、アメリカ人やイギリス人などは、よく討論の世界で、相手を怒らせ、コントロールが利かなくなった状態で、その人の本質の言い分を導き出そうとする。
例えば、イギリスの"Piers Morgan Tonight"では、ゲストで呼んだ政治家などにわざと意地悪な質問をして、相手を怒らせて話をさせたりする。アメリカの"Jimmy Kimmel Live"では、呼ばれたゲストにやはり意地悪な質問をする。後者の方は個人的に好きじゃないけれど。)


*****


それから、もう一つ、
プログラミングなどをする人たちは、
脳内で巨大な情報空間を築き、それを整合的に維持して行かないと仕事ができないので、
自分の内側(脳内)の世界が、外側の物理空間よりはるかに巨大で、はるかに豊かであり、その臨場感に強く浸る事ができる、と。

だからこそ、そういう人たちはオタクであり、外側の物理的世界には興味が無い人が多い、と。
(スティーブジョブズやビルゲイツもこれに当たる。)

これも、読んでいてなるほどなあ、と思った。


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それから、これはまた著者の自慢が入っているが、
「カリスマ」という言葉は、彼が世論を操って広めたらしい。

元々美容師の仕事は、「3K」ということで人気がなく、若い人で美容師志望の者が減って来たと、彼がコンサルをする美容師が嘆いていたとのこと。

それに対して彼が、芸能人がヘアスタイルチェンジをする際に指名するある美容師の店を筆頭に、彼らをテレビや雑誌などのマスメディアに頻繁に出したり、または青山や表参道界隈に敢えて美容院を多く作らせることで、美容師に対するイメージを変え出したとの事。

そして、「カリスマ美容師」という言葉を使い、あたかも美容師がとてもカッコいいもの、というイメージを作り出したそうな。


へええ。











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