June 04, 2012 23:18

「経済大国なのになぜ貧しいのか?」by 苫米地英人

4894514931

2012/3/21に出版された本。

4月の頭に、東京行きのバスの中で一度サラッと読んだが、
余りにも難しくて頭にすらっと入って来なかった。
いつもは大体の本は、
さらさらと読んでも内容が頭に入るが、
この本は自分の知らない経済用語や歴史がバンバン出てくるので、
一つ一つ噛み砕いて読んで行かないと、
理解が追いつかない。

ということで、少し置いていたのをまた出して来て、
昨日一日と今日をかけて、読み終わった。

非常に勉強になった。

*****

苫米地氏の本に対するアマゾンのレビューを見ると、
頭から彼に賛同する人と、
彼をボロクソにけなす人の、二極に別れる。
俺は、どちらかと言うと前者の方。

彼の本の中には、
かなり軽いノリで書かれているものもあり、
「これはわざわざお金を出して買うレベルの内容じゃないよね」
という本も多々あるが、
最近彼が出している、こういった経済関係の本や、
日本のマスコミや社会制度の問題を指摘する本は、
非常に示唆に富んでいて、
読んでいてとても勉強になる。

そして何より、彼の本を読む事により、
より自分が、世の中の色々な事に興味を持って、
「もっと知ろう」と思えることが、
何よりの恩恵である。

*****

この本の中では、目が開かされる記述が沢山あった。

果たして彼のその意見が全て事実として本当かどうかは、
自らが他の本やデータなども参考に調べ、
同時に、自分のアタマで考えてからでないと、
「本当かどうか」とは言えないが、
それを全て、やって行きたいと思える。
それだけ、触発されるところが多い本。




以下、俺がこの本を読んで、
興味を持った箇所。

(注意:一部はそのまま文章を抜粋し、
一部の言い回しや漢字使いなどは、
変更を施してあります。)


*****




「実際のところは、国債は円建ててあり、その殆どを国民が所有しているのであり、債権者は国民です。とすれば、借り手が貸し手に対して、「オレはキミにずいぶん借金しちゃったから、オレの借金はキミの所得から返すのが当然なんだぞ」と横柄に言っているのに等しい訳です。
ギリシャの例と本質的に違うのは、日本政府の借金は「円建て」だということです。他の通過で返済する必要がないのですから、デフォルトしようがないのです。」(p.90)




「実は、国民に増税を飲ませた結果、税収が減り、国家財政が行き詰まっている国が既に存在しています。それが、今ユーロ危機の主役を務めているギリシャです。
ギリシャ危機は、いわば国が財政の粉飾を行っていた事が出発点になっています。リーマンショックが起こり、国家財政の蓋を開けてみたら、とんでもない借金が発覚してしまったわけです。
そこでギリシャ政府は、財政赤字を減らす為に、国民への課税を強化しました。
ところが、課税強化によって民間経済が疲弊し、思い描いていた程の税収は上がりません。そのために、返って財政赤字が膨らむ状況に立たされています。財政破綻すれば、その重いツケは、それこそ後の世代が背負って行かなければなりません。ギリシャこそ、「後の世代にツケを回すな」という一見もっともな理屈により国家経済を悪化させ、「後の世代に重いツケを回した」典型例です。
日本政府は、増税が「ギリシャにならない為の道だ」としていますが、増税こそがギリシャに通じる道だ、という論理の方が正解です。にも関わらず、政府はまともな説明もほとんどないままに、復興増税を決めてしまいました。要するに、後は野となれ山となれで、いざとなればいくらでも消費税率を上げればいい、という腹なのかもしれません。」(p.94-95)




「社会保障の議論の際のお決まりは、日本の国民負担率は低い、という主張です。国民負担率が低く、そのために社会保障が十分でないというわけですが、日本の国民負担率が低いという指摘は、国会の審議でもよく使われます。国会で政治家が堂々と述べる訳ですから、それを聴いた国民はその通りに信じてしまうでしょう。ところが、これは全く正しくありません。
実は、日本の国民負担率が高い事は、内閣府がスウェーデンとの比較において、認めています。
(ここで、2005年7月の「スウェーデンと日本の国民負担率の比較」のデータを参照。)

‘本は、社会保障給付金などが少ないため、一見すると高負担のスウェーデンよりも、実際の国民負担率は高い。

△修両ない社会保証給付金の最たるものは、出産・育児等、家族政策関連の給付、高齢者・障害者関連の給付、そして雇用政策関連の給付の3つであり、スウェーデンは対GDPで、順番に日本の7倍、10倍、4倍の給付がある。
」 (p.123-126)




「年金財政がひっ迫しているのも、厚労省が年金基金を食いつぶしてしまったからです。年金はあるときまで、自分が積み立てた金を将来の自分がもらうという仕組みでしたが、いつの間にか、若者が年寄りの為にお金を融通する仕組みに変わってしまいました。
なぜ、そんなことになったのかといえば、グリーンピアなどの年金施設を乱造し、年金の運用に失敗したからです。そのため年金財源に巨額の損失が生じてしまいました。年金支給学の減額や至急年齢の引き上げは、いわば全て、官僚が運用に失敗したことが原因です。そのツケを国民に回して、厚労省はまるで当たり前だと言わんばかりに、相変らず威張っているわけです。
民間企業で社員が3億円も使い込めば、まず間違いなく実刑が下されます。ところが、官僚は兆の単位で使い込みを行っているにも関わらず、責任を一切問われません。こんなおかしな国がどこにあるというのでしょうか。」(p.148-149)




「TPPは、実質的にアメリカと2国間の自由貿易条約だと言われています。関税を撤廃、非関税障壁も取り払えば、日本にアメリカの医療サービス、行政サービス、金融サービスなどが流れ込み、アメリカ企業が日本市場を席巻することになるでしょう。これまでアメリカが年次改革要望書で日本に要求して来たことが、TPP参加ならあっさりと実現できるわけです。
実際、今年(2012年)2月14日の米下院公聴会では、米国の重要ターゲットが、「日本郵政問題」であると確認されています。まさにアメリカ側の本音です。
簡易保険93兆円をゆうちょ預金175兆円と合わせると、ゆうちょマネーは約270兆円になります。これがTPPの本丸です。かつで小泉・竹中ラインにやらせようとして失敗したことを、今度は民主党政権にやらせようというのが、アメリカ側の目論見です。
また、郵便事業を外資に解放する事もターゲットとして確認されています。

蛇に飲まれる蛙の様に、日本はアメリカに従おうとしていますが、ここへ来て、中国やロシアまでがTPPに感心を寄せ始めました。「アメリカが本気なら、俺たちも参加させてくれ」というわけです。
中国やロシアがTPPに参加しようとすれば、困るのは実はアメリカの方です。関税撤廃、非関税障壁を撤廃するというTPPの精神に従えば、アメリカ市場に中国製品やロシア製品が今以上に流れ込む事になります。良いとこ取りを目論むアメリカに、牽制球を投げつけたというところでしょう。そのため、アメリカの財界人の間でも、TPP論議が中断するというようなことが起こっています。」(p.209,210)




「そもそも、日本が(年に)2〜3%の経済成長をしなければならないという認識は、正しい事なのか?と。日本人が自分たちの事を、未だに新興国であると勘違いしているのではないか?
例えば、中国が年率2桁の経済成長を長期間続けていると言っても、それは走り出したばかりの自動車の様なものです。「去年は時速10キロで、今年は時速13キロになりました」というのが、年率30%の経済成長です。
それに対して、日本は単なる自動車を脱皮し、フェラーリに変わった経済です。それが今、例えば時速300キロで走っています。時速300キロの高速走行で1%の経済成長を遂げ、来年は303キロで走り、再来年は306キロで走るという状態を続けています。成長率に表れる数字はいかにも小さいかもしれませんが、それは誰にも真似出来ない様な高速走行で、日本と並行できる国はどこにも存在していないわけです。

もちろん、日本は今後、外国人が就業する様にならない限り、生産年齢人口が減って行きます。それに伴ってGDPは詰まるところ人口によって決まりますから、人口が減少するなら、フェラーリの時速も今年300キロが来年は297キロ、再来年は294キロと減って行くでしょう。
しかし、人口が減るのですから、それ自体、何も問題はありません。人口が減れば、税収が減り、それに合わせて政府支出も減っていきますから、日本人が経済的に苦しむようなことにはなりえません。

その場合に困るのは、自分たちが使える分のお金だけは維持して、利権を守りたいと考えている官僚だけです。人口が減り、経済規模が縮小しても、彼らは官僚の人数を減らしたく無いし、給料も上げて欲しいと言っているに過ぎません。

GDPを成長させなければならないというのは、官僚が仕掛けている幻想です。彼らの理論は常に、「それを成長させなければならないから、財政を立て直し、政府が使える金をもっと増やさなければならない」というところに行きつきます。
年金問題や介護問題などの社会保障も、根は同じです。日本は超高齢化社会で、お年寄りの介護で大変だ、だから政府が使える金をもっと増やせ、と言います。ところが、負担増に見合うだけの社会福祉が国民に提供された試しはありません。そして、国民がその事に不満をぶつけると、不満を解消する為にはもっと税金を上げる必要がある、と返して来ます。
官僚というのは、国民の不満や国家的危機を食(は)んで、つねに焼け太りしようとしようとする生き物だと捉えなくてはならないでしょう。」(p.212-216)




■世界の経済カースト(トップから順に):

_な撞霏膓箙圓離ーナーである銀行家
欧米巨大銀行の頭取
IMF, BIS等の国際金融機関
さ霏臈蟷餠箙堝取クラス
ゥ┘ソンモービル、GEといった多国籍企業
Ε▲瓮螢政府
С胴饑府(日本政府含む)
┠价掴△覆匹梁膣覿


「総務省は物価が下落しているとのデータを世の中に出しているが、実際にデータを調べると、物価は下落はしていません。
物価下落を表す政府の統計は、要するに、世界の多国籍企業の戦略の一環だということです。日本人がお金を溜め込む様にしかけ、それを、TPPによる市場開放や米国債の購入を迫るという形で、ごっそりかっさらう腹づもりでしょう。」(p.220-229)




「本書で述べたインフレとデフレの問題においても、そこにヨーロッパ大銀行家の意図が働いた痕跡を見る事ができます。
例えば、OECD(経済協力開発機構)は、次の様な定義をホームページ上に掲げています。
「インフレーションとは物価が継続的に上昇していくこと」「デフレーションとは物価が継続的に下落していくこと」と。既に指摘したように、この定義は明らかに間違っています。

インフレとデフレは、マクロ経済学の概念です。ご存知の様に、マクロ経済学は個々の製品価格を論じる分野ではありません。物価を問題にする場合には、ミクロ経済学で個々の製品価格を考えていくわけです。
マクロ経済学では通貨は「すべての通貨」、モノは「すべてのモノ」を指し、通貨とモノの関係を捉えて行きます。最近はマクロ経済とミクロ経済を統合する経済学の流れもありますが、だからといってインフレ・デフレの定義を変えて良いことにはなりません。
現代人は、状況の変化に応じてモノの価値が変化して当然だと思っているかもしれませんが、モノの価値というのは、ほんらいそう簡単に変わるものではありません。使っているうちに壊れてくれば価値がなくなるかもしれませんが、そのときは新しいモノが作られ、モノの総量としての価値は変わらないわけです。

では、なぜインフレやデフレが起こるのかといえば、これは専ら通貨の総量に起因しています。通貨の総量が増えれば、通貨の価値は相対的に下がり、インフレーションが起こります。逆に、通貨の総量が減れば、通貨の価値が相対的に上がり、デフレーションがが起こります。これが、ほんらいのインフレ、デフレの定義なのです。

ところが、OECDの定義では、このインフレとデフレの概念が、物価の概念に変わっています。これは、古典的な経済学から見ても、非常におかしな話です。素人ならともかく、十分に経済学を学んできたはずのOECDの研究者や職員が、こんな初歩的なミスを犯すとも思えません。

インフレ、デフレの概念を物価の概念に変えた事によって、実は私たちの目から隠されたことが二つあります。

ひとつは、物価は変わらないという当たり前のことを、私たちに見えなくしてしまったことです。OECDの定義が象徴しているように、「モノの価値は変化せずに通貨の価値が変化する」という本来の概念を、「モノの価値が変化して、通貨の価値は変化しない」という概念に変えた結果、不変の通貨の価値がモノの価値を決める、という論理のすり替えが行われました。つまり、お金がすべての基準であるという論理が、大手を振って通用する世界に、いつの間にか変わっているのです。
ヨーロッパの銀行家にとって、もともと通貨は、彼らが所有する金のことでした。彼らが、自分たちが所有する金の価値を不変と考え、それに対してあらゆるモノの価値が決まると考えたとしても、不思議はありません。そして、彼らの意向を体現した世界各国が、金本位の通貨制度を持ったのも当然です。実際、ブレトン・ウッズ体制においても、金は1オンス35ドルと決められ、世界各国の通貨は間接的に金と結びつきました。

本当は、金に不変の価値などありません。パソコンや携帯電話の電子部品に使われている様に、金にはもちろんモノとしての価値がありますが、あらゆる価値を量る絶対的な価値があるというのは、まったくの錯覚です。
ヨーロッパの銀行家は、金の不変の価値が崩れると困りますから、その価値から相対性を消し去ろうとしました。それが、金本位制の成立であり、あらゆるモノの価値の基準が通貨であるという概念を広めることだった、といえます。
その結果、私たちは知らず知らずのうちに、インフレもデフレも物価の概念であると思い込む様になってしまいました。

もう一つは、好況と不況の原因を隠してしまったことです。
特に日本人は、1990年のバブル崩壊から続く不況の中で、一体何をどうすれば不況から脱出できるのかさっぱり分からなくなり、自信を失っていると思います。総務省統計局の消費者物価指数でも、物価が継続的に下落しているとされていますから、まったく出口が見えないと悲観に陥るのも当然です。
ところが、それはマクロ経済とミクロ経済という全く異なる概念を混同させた結果として、日本人の多くがそう信じ込まされているだけのことです。

経済がインフレかデフレかを判断する理由は、単純にマネーストックが増えたか減ったか以外にありません。つまり、マネーストックを実質的に増やす事ができれば、デフレから脱却することができます。
また、今の日本は強い経済を続けていますから、ちょっとやそっとマネーストックを増やしても、インフレにならないとも言えます。それは、日本の経済成長にマネーストックが追いつかない状態を指しています。(以下省略)

にも関わらず、総務省統計局は個々の物価を調べて継続的に物価が下がっているとといい、日銀はマネーストックをコントロールできないと言い張っています。OECDがそうであるように、政府も日銀も、ヨーロッパの大銀行家が仕掛けた論理のすり替えに、どういうわけかやすやすと乗っかっているのです。」(p.232-238)











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