May 13, 2012 22:21

「前に進むチカラ」by 北島 康介

20110726G216


水泳、ブレスト(平泳ぎ)の選手、
北島 康介選手の本です。


この本は、先週図書館に行った際に、
この本が前の方に紹介されていて、
「お、この本、去年本屋で見かけてちょっと気になってたよな」と、手にしました。



全く期待せずに読みましたが、
学ぶ事が沢山ありました。


*****


北島選手には、
俺は、個人的に勝手に「近いヤツ」という感じで見ています。

それは、俺と同じ平泳ぎがスタイルで、
かつ、俺と歳が一つしか変わらないからです。


俺は、高校時代に競泳部に所属していましたが、
そして、県レベルでみたら、全然速く無かったので、
県の大会にも行けませんでしたが、
俺の同期で、県大会に行った奴らが、

「何か、ブレストで、すげえ伸ばしてんのに、
二位に5メートル以上思いっきり差をつけて、
ゴールしているヤツがいた」

と、話題になっていました。



その、「流しているのに、余裕で一位になっていたヤツ」
こそ、北島康介です。

(ちなみに、2000年頃の話です。)

*****


よって、彼が2008年の北京で、
見事100メートルと200メートルで金を取った時には、
「うおお!やっぱりすげえ!」という気持ちと同時に、
何だか、身内が活躍しているような、
そんな気分でした。


なので、今回も、
あえて、身内の本を読むというか、
「別に、彼の本をわざわざ読むまでもないんじゃない」
という風に見ていました。

すみませんね。

*****



しかし、この本を読んで、
彼に対する見方が変わりました。


正直、彼はインタビューの際に、
「チョー気持ちいい!」
とか、
「何も言えねえ」
とか、
「お前は頭がワルいのか」
と突っ込みたくなる様なコメントしか残していなかったので、
「余り頭が良くない人」
として、俺の中では勝手に判断していましたが、
(本当にすみません。)

この本を読んで、
「ああ、この人は、努力の人なんだな」
と、尊敬の念に変わりました。


ただの「ちょっとアホっぽい身内」から、
「尊敬できる先輩」
に、なった感じです。


(それでも、中田英寿やイチローのように、
遥か遠い所にいる人、
という感じはしない。
きっと、同じ平泳ぎだからでしょうか。)


******



彼は、この本の中で、
自分の体のコンディションを、
しっかりと感じて、
調整することの重要性を説いています。


朝起きた時に、
少しでも頭痛を感じたら、
それがどうしてなのか、
原因を突き詰める。


水泳選手は、
24時間、365日、
いつドーパミンの抜き打ち検査が入るか分からないから、
簡単に薬も飲めない。


*****


また、大会のその日に合わせて、
コンディションを、ぴったりと合わせて行く。


もしも大会の日が一週間でもずれれば、
記録は大幅に変わってしまう、
それくらい、慎重に調整をして行く。


*****


水泳は、陸上で調子が良くても、
水中では調子が悪い時もあるし、
その逆もある。

しかし、水中でも、陸上でも、
両方で調子が良いとき、
そして、その自分の感覚が当たる時しか、
本当に良い記録は出ない。


*****


平泳ぎは特に、
他の泳ぎに比べて、水の抵抗が大きい泳ぎのため、

また、水泳自体が、
水の抵抗を如何に減らすかの競技のため、
当日のコンディション、
メンタル面、
技術、
スタミナ、
そして、競技中の一かき一けりまで、
指の先まで、神経を研ぎすませていないと、
タイムが大幅に変わってしまう。



*****


そして、
水泳は、サッカーや野球とは違い、
その練習量に対して、
自分が脚光を浴びられる瞬間が、
余りにも少ない。

(日々の6時間近い練習を、四年近く続けた結果が、
レース時の一瞬のミスで、
水の泡と化してしまう。)



*****


そんな風に、
同じ水泳選手(元)として、
読んでいて、非常に熱くなる部分が多くありました。



また、彼が言っていた事で、
非常に同感したところ。


それは、「休みとサボるは違う」ということ。


自分がどういう状態で、
ベストのコンディションでいられるのかを、
きちんと把握して、
休みが必要な時には、
きっぱりと意識をして休む。


彼は、2008年の北京のあと、
今後の自分の人生をどうするのか、
一年近く迷います。


その時、LAのUSCで練習に参加するわけですが、
ある日、
「俺は、もう一回、水泳選手としてやって行こう」
と心が決まります。


しかし、ブランクが長かったため、
毎日の2回の練習に付いて行けない。


付いて行く事はできるが、
疲れが次の日になっても抜けず、
次第に、
「一日2回の練習をこなす為に、
体力をセーブして泳ぐ」
という、本末転倒の事態になります。




そこで彼は、自分のコーチに相談するわけですが、
アメリカ人のそのコーチは、
「だったら、一日一回の練習にすればいい。
2回を無理してやって、中途半端になるよりも、
1回を本気でやった方が良い」
と、アドバイスをしてくれます。



それまで北島は、
日本式の、
「一日2回の練習で、6000メーター以上泳いで、
やっと最低ライン」
という考えにとらわれていた為、
そのアメリカ人コーチの教えに、
一瞬ビックリするわけですが、
それを試してみるわけです。



その結果、タイムは上がり、
結果も出て来ます。


*****



この辺は、俺の小学校〜中学時代のコーチ、
白井コーチと、
高校時代のコーチ、
星野コーチのことを思い出します。



二人とも、

「メリハリをつけろ」
「休む時は、水泳の『す』の字も一切考えない」
「やる時は、とことんやれ」

という事を、俺に教えてくれた人です。

(まあ、俺は、常に全力でやってしまい、
余り「休む」ということが出来ない質なのですが。
これに関しては、北島もこの本の中で触れていた。

「真面目で毎日の練習をコツコツやる選手ほど、
本番で実力が出せない。
それは、自らのゴールを、
少し頑張れば達成できる所に置いているから、
それを意識しすぎて、力みすぎてしまうか、
または、毎日の練習をこれだけやってるんだから、
本番も大丈夫だろうと、
目的と手段が入れ違ってしまうところにある」と。

これを読んで、「俺じゃん」と思った。)


*****


ちなみに話はずれるけど、
俺がアメリカを意識したのも、
この二人のコーチの影響が大きかったな。

二人とも、アメリカに縁がある人たちで、
若い頃から、何度もアメリカに行っていた。

俺が洋楽を聴き出したのも、白井コーチの影響だし、
この二人は、俺の人生に、
本当に大きな影響を与えて下さった。

本当に心から感謝をしている。


*****


さて、話を元に戻して、
そんなわけで、
「北島康介」という人間の、
北京後から、今までの道のり、
そして、彼の内面が見える本となっています。


******


水泳は、非常にきついスポーツです。

練習中は、スイミングプールの底を2時間以上見続けながら、
誰とも話さず、息苦しい中で、
ただひたすら泳ぎ続けるものだし、

全身を使うので、
その疲労度は、半端じゃありません。


そして、サッカー選手や野球選手のように、
決して、「華やか」なスポーツでもありません。


よって、
世間的にも、
上に挙げたスポーツなどよりも、
注目度が低いのが現実です。



しかし、北島康介が、
日本で初のプロとしての水泳選手の道を作った様に、
彼は、確実に、
成果を残しています。




この本は、去年(2011年)の6月に書かれたものですが、
今年のロンドンオリンピックに向けた意気込みも、
少し書かれています。


実際に、見事彼は、
先日4月3日のロンドン五輪代表選考会を兼ねた日本選手権にて、
100メートル平泳ぎで58秒90の日本新記録をマークして優勝、
ロンドン五輪代表入りを決めました。

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競泳・日本選手権の男子100メートル平泳ぎ、日本新記録で優勝し、4大会連続の五輪出場を決めた北島康介【写真は共同】





試合は7月末から始まります。

ぜひ、頑張って欲しい。

応援しています。

2012/5/13 20:44










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コメント一覧

1. Posted by 純平   May 14, 2012 17:43
5 Shunさん、こんにちは。
こちらにコメントさせていただきますね。
前回は丁寧なお返事ありがとうございました。
正直、苫米地さんってちょっと「怪しい」というか頭の回転数が圧倒的に違うなというかそういう印象を持っていて、僕なんかに理解出来るのだろうかって思っていたんですけど、就職活動についての本は必ず読みたいと思います。


それから、「毎日どんな生活をして、どんなスタイルで仕事をしたいのか」という言葉。いろいろ考えさせられました。高校時代に先生からこんな話を聞きました。
仕事に対する考え方は2つあって、1つは日々の生活の軸足を「仕事」に置き、とにかく仕事を第一に、仕事をやりがいにして働く。もう1つは、公務員みたいに定時に始まり定時に終わるような仕事をしながら、週末の休日などを自分の趣味などに当てたりして日々のプライベートを重視する考え方。
僕は正直アウトドア派でもないし、特に大きな趣味もないので前者のような考えで仕事を考えていました。
でも、Shunさんの言葉を読んでいて、たとえ仕事を第一に考えたとしても、日々の生活(健康管理や適度な休息)って大事だよなと。いや、むしろ仕事をやりがいにするからこそ、日々の生活が大切になってくるのではないか。そう感じました。正直、就職したら、ただがむしゃらに働くことしか考えていませんでしたが、もちろん日々のとりとめのない生活もありますよね。そこをどう過ごしていくのか。確か、「ワークライフバランス」って言ったと思うんですけど、働くことばっかりではなくて、当たり前のようにやってくる毎日の生活スタイルについても一度じっくりと考えてみたいと思います。
貴重な視点ありがとうございました。

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