May 08, 2012 22:16

「女子高生ちえのMBA日記―社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!」by 甲斐莊 正晃

BK001945

非常に良書です。
とても良い本でした。
非常に勉強になり、
かつ、とても楽しんで最後まで読めました。

*****

以前にここにレビューを書いた、
「女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?」と、
「女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?」
の続編、第三弾です。

今回は、社長のちえが、
慶応義塾大学のMBA
(本の中ではそうは書かれていないが、企画編集面でその学校にお世話になったとの解説が本の最後にあることから、ちえが通った学校はそこと考えられる)
に受講生として通い、勉強をする間に、
ちえの経営する山本産業に大規模のリコール事件が起き、
それがマスコミに大々的に報道されて、
完全に困り果てる、というシナリオです。

しかし、それに対して、
ちえの通うMBAの学校の先生、
及び生徒たちが、必死になって「リアル・ケーススタディ」として強力をしてくれて、
山本産業をどう立て直すかを必死に考えてくれます。

その結果、ちえの会社は見事復興を遂げ、
かつ、その会社には今まで存在しなかった
強い「カンパニー・ブランド」を築き上げるまでになる、
というところまで話が進みます。

*****

読んでいて非常に面白かった理由の一つとして、
第一弾と第二弾の様に、毎回ビジネスのキーワードが出て来ますが、
その解説に対しての例えが、非常にうまく取り上げられていた事。

前作の二作と比べて、
著者の作家としての腕が上がった感があります。
よって、以前は感じていた、
話がぶつぶつと途切れる感じが無くなり、
全体を通して、非常に「流れ」を感じました。

*****

また、理由の二つ目として、
出て来るトピックが、実際に自分の興味のあること、
または、自分の人生経験に近しいことが多かった為に、
より、現実味を感じて読む事ができた、
というのが挙げられます。



例えば、最初に出て来るゲーム理論。
これは、三年ほど前に別の本で読んで一時期ハマっていたので、「そうそう」という感じでした。

他にも、現在自分が勉強している経理の話が出て来たり、
(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー、損益分岐点の話など)

または、舞台となる場所の設定やシチュエーションが、
自分の置かれている立場や土地に近かったりと、
非常に、読んでいて頭の中にイメージが浮かび易かったこともあります。


(以下、例:

,舛┐瞭く会社はメーカーなので、自分の今の仕事に近い。

△舛┐MBAのクラスで見学に行く富山の製薬会社の話は、
正に、今の自分の会社に、内容も土地も近い。

ちえが出張で観に行く自分の支社である、
台湾の高雄の様子や、台北の新幹線の駅の様子などは、
去年の1月に友人の結婚式で、正に高雄まで台湾から新幹線で行ったので、
「そうそう」という感じだった。

ぅ汽廛薀ぅ船А璽鵝Ε泪優献瓮鵐箸亡悗靴討蓮
俺が日本で一社目に働いた会社の部署がそこであり、
また、今在籍している課がそれである。

ゾ紊傍鵑欧辛抻海寮縮会社の具体例の中で、
作業所のモノを最小限まで少なくして、
「動線」を短くする、
また、実際はいないが、工場の入り口に、
虫を捕まえる仕掛けを置くなどは、
実際に現在自分の会社でも、積極的に取り組みがされている。

など。)

*****


上の富山の製薬会社の工場見学に
ちえたちが行った後、
それに関して、改善すべき点をクラスで話し合うシーンがあります。

そこで、折角、
工場の中で効率を上げて作業をしても、
その薬の検査待ちで、半製品となっている製品が多い事が挙げられていました。

それが起きる原因として、

”兵舛鮓〆困垢詆兵全浜部が、
品質チェックの順序の希望順を知らずに、
来たものから検査をするので、
工場では、検査が終わるまでラインが止まって待たされる。

品質管理部から、工場まで、
サンプルを取りに来る時間が、3時間に一回の割合。
(これを、「30分に一度」の様に、
もっと頻度を上げれば、改善がされる。)

などが取り上げられていましたが、
これは正に、今の自分の会社にも当てはまります。



ここで話がされていたのは、
「仕事のムダは、『つなぎ目』にある」ということ。

仕事をしていると、
自分の存在する課だけに目が行ってしまい、
そこの効率は最大まで上げても、
そこと別の課を結ぶ間に、大きなムダがある事が多い。
そして、それが改善されずに放置されている場合がある、
とあります。

これは正にそうで、
だからこそ、
社員全員が、
「会社全体」としての目を持ち、
自分の課や係の内容だけじゃなく、
会社全体として、きちんとムダ無くフローがあるのかどうかを
意識して動く事が大事な訳です。

(これは、一つの作業に取りかかると、
ついその目の前のことしか見えなくなりがちですが、
そんな時も、全体を俯瞰的に見る視点が、
非常に大事だ、ということです。)

*****



また、読んでいて非常に印象に残った事が、
ちえの意識の高さです。

女子高生ながらも、社長ですから、
それは当たり前かもしれませんが、
彼女は、高校に通いつつ、
夕方からは毎日会社に行き、
土曜日は一日、MBAのビジネススクールに費やします。

そして、何か分からない事があれば、
自らMBAスクールの図書室に通い、
調べものを一人でして、
それを、次回の会社でのMTGに生かします。


こんな女子高生は実際には中々いないと思いますが、
これも、著者の甲斐莊正晃(かいのしょう まさあき)氏が、
自らのコンサルタントとしての視点で、
ちえの目線から物事を語る事で、
ちえの視点のレベルの高さも上げられ、
かつ、それを女子高生の言葉に置き換えて、
分かり易く解説がされているので、
「なるほど、なるほど」と、
非常に分かり易く、そのトピックに対して理解をすることができます。

また、会社のリコール騒動では、
マスコミからの慇懃無礼な質問にも、耐えるちえ。
その姿を見ると、
「俺なんていくらでも頑張れんじゃん」と、
勝手にちえの勇姿から良い影響をもらえます。

*****

以上、
中身良し、
取り上げられているケーススタディ良し、
ストーリー良し、
全体の流れ良し、
勉強になること良しと、
非常に、「良書」でした。

読みながら、「この本、いいな」と、
何回も表紙を見直してしまいました。

これで、1200円の価値は十分あると思います。
ぜひオススメです。


2012/5/8 22:15



出て来るキーワード:

「コアコンピタンス」
「ゲーム理論」
「SWOT分析」
「市場セグメンテーション」
「サプライチェーンマネジメント」
「損益分岐点と感度分析」
「孫子の兵法」
「マズローの欲求5段階説」etc



概要:
PART-3で学べるのは、会社をマネジメントするために欠かせない経営管理のさまざまな手法と、それを実際の仕事にどう活用するかのノウハウ。

(上記のキーワードと概要はこちらから引用しました。)




トラックバックURL

コメント一覧

2. Posted by shun   May 09, 2012 21:36
純平さん、いつもコメントありがとうございます。

ビジネス本に関しては、この「ちえ」シリーズの様に、会社で働くことがどんなものかを表している本を読んでおくことは、実社会に出る前に、自分がどんな業界や分野で働きたいかを確かめられるきっかけともなると思うので、お勧めです。
(金融、IT、メーカー、商社など、業界によって、仕事内容、日々の過ごし方、ライフスタイル、給与、人生プランなど、全て変わって来ますので。)

それから、村上さんの本を随分読んでいらっしゃるんですね。僕は彼の本を読むと、大分はまり込んでしまうので(また同時に、体力も使うので)、読みたくなる時期と読みたくない時期があります。
今は、大分彼の作品からは離れている時期となります。

ちなみに「スプートニクの恋人」は僕の好きな作品の一つです。

1. Posted by 純平   May 08, 2012 23:42
5 Shunさん、こんばんは。
今日、Shunさんが紹介された本のような内容ってとても難しいというかまだ働いていない僕からするととても距離のある、 縁遠い内容に感じてしまうのですが、そういうジャンルの本を読むことも自分が働くということを真剣に考えるときに参考になりますか?なんかいきなり訳のわからない質問してすみません。
僕もそろそろ「就職」というものを真剣に考えないといけない時期になったので。


『ノルウェイの森』を読み終えた後、『1973年のピンボール』を読み(これも2回目です。)、今日から『スプートニクの恋人』を読み始めました。
さっそく100頁ほど読んだのですが、読んでいて感じたのは、いつものゆったり感がないというか(悪い意味ではありません。)、なんかばたばた、慌ただしい雰囲気を持ちました。
日時もどんどん進んでいきますし。
ただ、お話自体は凄く面白いです。
また読んだら感想書きますね。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
Archives
記事検索