April 14, 2012 18:17

"Lenny Live"

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Lenny Kravitzのライブ映像、及びドキュメンタリーを併せたDVDです。
2002年11月に発売されました。

今から丁度10年前になるわけですが、
当時の自分は、留学の一年目が終わったとき、
オレゴンまで友達と一緒に車で行って、
そこのBest Buyかどこかで見つけて、買いました。

*****

当時、初めてこのビデオを見た時には、
「何で、こんなにカッコ悪い映像ばかりなんだよ」と、
ちょっと、不満足でした。

普通は、アーティストのライブ映像というのは、
ライブ中の映像だけにするか、
または、ドキュメンタリーが入っていても、
私生活でもカッコいい部分を映す訳です。

しかし、彼の場合には、
朝起きて、眠い顔で、
ぼーっとしている所とか、
体調が悪くて、ショウをキャンセルするところとか、
マネージャーに、「You go to enjoy being "Lenny Kravitz!」
と、力説されるけれど、
本人は、
「自分の中のSadnessとHapinessのレベルが別々にあって、
Sadnessの方が上に行って、それ以上どうしようもない時がある」
という言葉など、

かなり、
彼の苦悩を映し出した映像なわけです。

*****

彼は、この映像の中でも言っていますが、
"Again"や"Fly Away", "American Woman"などの曲で、
一気にグラミーを4回連続で取ってしまいました。

それによって、それまではもちろん有名だったけれども、
恐らく一部のロック好きなコアなファンにしか受け入れられなかったところから、
一気に、キッズからオールドまで、
皆が一斉に聞く様になってしまい、
ちょっと、戸惑ったと言います。

"Again"がヒットした時には、
"I was scared in a way"と。


そこから、自分の名前だけが一人歩きし、
ラジオやマスコミからは、
自分がしたく無い事をする様に言われ、
世の中で有名になっている"Lenny Kravitz"と、
実際の自分自身の"Lenny Kravitz"との間に、
ギャップを感じ、違和感を感じる日々が始まった様です。

*****

思うに、彼はアルバム"5"を出して、
その中から、上記の3曲がグラミーを取り、
それ以降、段々と混乱して行くのだと思います。

"5"
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その後のアルバム"Lenny"は、
まだ、ストレートに気持ちを歌っているものの、
その辺りから恐らく、
困惑し出したのだと思います。

"Lenny"
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彼のこのライブ映像は、
丁度"Lenny"のアルバムツアーの時のものですが、
彼の中に、混乱と葛藤が見えます。


*****

レニークラヴィッツを俺が好きな理由は、
彼の歌には、嘘が無いこと。

彼は、この映像の中でもやはり言っていますが、
「自分にとって、歌とは、自分を表す手段であり、
自分は、自分の為に、曲を作っているに過ぎない」と。

「なので、その曲に対して、
世界中のファンが、実際にその曲を
彼、彼女らの人生に深く反映して、
その曲に思い入れを持っていることを知ると、
何か、不思議な(funny)気持ちになる」と。



そんな彼なので、
彼の曲には、捨て曲が一切無いし、
全ての曲は、彼のハートからそのまま出ているのです。

*****

だからこそ、彼がこのDVDを出したその後、
彼の当時の気持ちをもろに反映させたアルバム、
"Baptism"。

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これは、かなり、ある意味凄いアルバムでした。
(個人的には、"5"と並んで一番好きなアルバムです。)

最初に買った時には、
De Anza Collegeに自転車をこぎながら、
2004年の4月から5月にかけて、
このアルバムをずっと聴いていた訳ですが、

"I dont' want to be a star"
"I got so much confusion now,
Sometimes I don't even know my name"
"What did I do with my life?"
"Could a wife and some children be better than being in band?"
"I'm just a man on the run, It's a f***ing bore"


など、
「なんでそんなにネガティブなんじゃい」
と突っ込みたくなるほど、
暗いアルバムでした。

*****

当時の俺は、まだ21歳だし、
彼のことも、そんなに人間として知らなかったし、
むしろ、"5"辺りからハマった人間なので、
「なんで、ライブDVDもカッコ悪いし、
このアルバムも、超暗いし、
カッコいいレニークラヴィッツを演じてくれないんだ?」
と、不服でした。


恐らく、世間全体も、
彼に対して、そのように少なからずは思っていたと思います。

(今思うと、そういったファンや世間の彼に対する思いが、
彼を、苦しませていたわけです。)

*****

そして、彼のライブに初めて行った、
2005年の5月18日。


そこで、「暗いライブをやるのかな」と内心思いきや向かった
サンフランシスコのBill Graham Civic Center。

そんなネガティブな期待を裏切り、
初っ端から、かなり盛り上げてくれた彼。

"Electric Church Tour: One Night Only"と題されたそのツアーでは、
一曲目が"Minister of Rock'n Roll"で、
その後二曲目に、
俺の大好きなアルバム"5"からの曲、
”Live”を演奏してくれました。


この曲は、
「みんな、ネガティブなアイディアに踊らされていないで、
自分の人生を生きようぜ!」という歌。

その歌を歌いながら、
二階のバルコニー席に座っていた俺とジョエルの方に来て、
「ほら!二階の人も立って!!もっと楽しんで!!」と、
ムキムキに鍛え上げたゴリラの様な体(注:ジョエルの比喩)で、
両手で煽りながら、会場全体を駆け回っていた彼。


その姿を見て、気づいた訳です。


「ああ、レニークラヴィッツという人は、
ライブDVDのような、彼の一部分しか分からない媒体で、
カッコ付けても意味は無いことを知っていて、
もっと、実際の生のライブに来て、
本当の俺を見てくれよ、
もっと、純粋に、
音楽を楽しんでくれよ、
ということを、言いたかったんだな」と、
気づいた訳です。



つまり彼は、
いつも、正直な訳です。



この映像の中でも言っています。

マネージャーに、
「今後のマーケティングのことも考えて、
こうした方が良い。
このラジオに出て、
このMTVに出た方が良い」と言われながら、

「いつも周りにこうしろと言われるが、
それをして上手くいった試しがない。
誰も俺に、"American woman"をして欲しく無かった。
俺はしたかった。実際にやった。結果、成功した。
誰も俺に、"Fly away"をして欲しく無かった。
俺はしたかった。実際にやった。結果、成功した」

と、マネージャーに、言い返しています。



それから、この映像の中で一番すきな場面ですが、
あのドナルドトランプが、
カッコいいスーツをびしっと着て、
彼に、「今度、私のカジノでパーティーがあるから来たまえ。
Jon Bon Joviも来るし、ぜひ来てくれ」と
彼に催促します。
(ジョンボンジョヴィ氏はマーケティングがうまいので、
どこでも出て来ますね)


しかし対するレニークラヴィッツは、
髭を生やして、
上半身裸で、
かつ、ドラルドトランプの言葉に、
"Really?"(あ、そう?マジで?)
と、適当に受け流しています。

最後にドナルドトランプが、
"We love you"と言って、裸の彼に、
ちょっと微妙な表情をしながらハグをするわけですが、
そのシーンが、何とも皮肉に撮られているわけです。

「俺は、高いスーツを着て、自分を着飾ることに興味はないよ
(あんたの様に、上辺だけのFameに踊らされているつもりは無いよ)」
と。


*****


ちょっと話はそれましたが、
そんなわけで、彼は常に、自分をカッコ付けてみせたり、
着飾ってみせよう、という気が全くありません。

また、常に、
彼の音楽は、彼のその時の気持ちを、
正直に表しているのです。


だからこそ、彼の音楽には、
心を揺さぶられるものがあるし、
ライブに行っても、
20年前のファーストアルバムの歌から、
最新アルバムの歌まで、
どんな曲でも、変わらぬまま、
歌う事ができるのです。

*****


俺が先週に行った彼のライブですが、
そのライブは、今までで一番ベストでした。

何がベストかというと、
彼が、一皮むけていたというか、
何か、潔さがあったわけです。

「また、Lenny Kravitzとして、
最大まで、この人生を楽しんで行こう。
そして、大事なファンとともに、
一緒に、音楽を楽しんで行こう」

という勢いが、
もの凄く感じられたわけです。



なので、ライブ中も、
一曲目から凄く勢いがあったし、
とにかく、「楽しかった」。

正直、このDVDの頃(つまり今から10年前)は、
かなり疲れているというか、
ダルい感じがしますが、
今の彼は、年齢は10歳高くなったものの、
精神は、また若くなった、
という感じがしました。

*****

なので、Lenny Kravitzという人の音楽は、
その10枚のアルバムを通して、
まさに、彼の人生が見える、
彼の人間としての成長が見えるのです。



そこが、彼の音楽を聴く醍醐味の一つでもあります。

*****

ぜひ、ライブに行くチャンスがあったら、
行って観て下さい。

ファンになる事、間違い無しです。

2012/4/14 18:39







PS.
彼はこのライブ映像の中で、
「今から20年後も、
こうして、音楽を演奏して、
ファンと一緒に人生を楽しんでいたい」
と語っています。

今はそれから丁度10年が立ったわけですが、
彼は健在です。

今彼は47歳。
あと10年したら、57歳になるわけで、
それを考えると、ちょっと切ない気持ちになります。

自分の好きなアーティストが、
自分が歳を取るとともに、
彼らも確実に歳を取って、
段々と衰えて行くというのは、
必ず起こりうるものですが、
「早く年月が経って、彼らの新しいアルバムを聴きたい」
という思いと同時に、
「年月が経てた経つほど、
彼らもいずれはいなくなってしまうので、
それが嫌だ」
という思いが同時に存在します。


*****

エアロスミスを見ていると、
50代までは確実に気力で若くいられても、
60代に入ると、やっぱり、
若い頃の爆発する様なパワーは消えて行くんだなと、
ちょっと、最近のエアロスミスのメンバーの雰囲気を見て思います。


ぜひ、エアロスミスとレニークラヴィッツ氏には、
ずっと頑張って頂きたい。





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