March 07, 2012 19:20

「日本経済が手にとるようにわかる本」by 小宮一慶

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良い本でした。
とても丁寧に解説が成されています。

自分は基本的に、今までの生活で、
経済面を、日経新聞などの「数字」に結びつけて
捉える、という事をして来ませんでしたが、
彼のこの本を読み、
数字を読み解くノウハウを知っておけば、
今までの経済の動きが、目に見えて分かる様になる、という事を実感しました。

(今後の動きに関しては、ある程度の予測は立ちますが、
それを確実に当てるのは難しいので、
「今後の経済の動きも目に見えて分かる」とは言えないと思います。)

*****

特に、最後の章にあった、
「今までの30年間の動きを読み解く」
という所に関しては、
小宮氏が新卒で働き出した1981年以降の動きが分かり易く解説されていました。

1981年当時は円が240円近かったが、
プラザ合意で急速に円高が進んだこと、
日本製品が海外で売れなくなって、輸出が落ち込んだことで、円高不況が懸念されたこと、
そこで日本政府が金利を上げて景気を刺激したこと、
この低金利政策が、銀行による貸し出し競争や過剰な不動産投資、証券投資の呼び水となり、バブルの発生へと繋がって行ったこと。

日本で様々な分野で規制緩和が進み、
そこで積極的に日本に進出したのが、欧米の金融機関であること。

しかし、彼らが狙うオフィス用の不動産が足りない事から、
オフィス不足に目を付けた不動産会社が、新しいオフィスビル建設のために用地の買収に走り出したこと。
(まず丸の内や大手町、その後東京駅の反対側の八重洲エリア、赤坂、六本木、新宿など、都心の一等地で大規模なオフィスビル開発ラッシュが起こったこと。)

上記の動きに伴い、地価が上昇し始め、
かつ、円高対策の為に金利は安く、資金も市中に潤沢に供給されていた為、
銀行も積極的に不動産融資に乗り出したこと。

その動きが瞬く間に広がり、
都心の周辺地域や地方都市にも波及したこと。
オフィスビルだけでなく、マンション開発や住宅地の開発も熱を帯び、
地価が全国的にどんどん上昇したこと。

そして、実需を伴う不動産投資が、
転売目的の投機に変わって行った為に、バブルが発生したことーーー。

*****

つい1〜2年前までは円高不況と言われていたのに、
いつの間にか世の中は好景気に沸き、
「金余り」という様な現象が起こっていた、その時代。

僕は自分で経験していないので、
その時代を生きていた上司たちの話を聞くだけですが、
当時、そうして日本国内の大勢の人間が、
「この好景気は一生続く」と信じていた中、
海外では、これを「バブルだ」としっかりと認識していて、
いつそれがはじけるかを冷静に見ていたと言います。

要するに、目の前の数字やデータからきちんと分析したり、
またはそれ以前に、
「なぜこの状況が起こっているのか」
をきちんと把握せずに、
目の前の変化に一喜一憂していた、ということです。

*****

アメリカのサブプライムローン破綻もそうですが、
人は、それが起きた後に、「なぜそれが起きたのか」を分析して、
その当時の人々の行動を批判したり、反省したりしますが、
それよりも、今何が目の前で起きているかの「波の動き」をきちんと読んで、
その波が今後どうなって行くのか、
それがもっと大きくなるのか、
または直ぐに崩れるのか、

それを知る為には、きちんとその海のルールを観察して、
自ら波の動きを読める様にならなければならない、
ということです。

*****

自分はまだまだ経済、金融に関する知識、またはそれを見る目が弱いので、
きちんと鍛えて行こうと思います。

2012/3/7 19:20






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