February 23, 2012 23:11

「憂鬱でなければ、仕事じゃない」by 見城 徹, 藤田 晋

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幻冬舎代表取締役社長の見城徹氏と、
サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏の本。

読み終えての正直な感想。

言葉が悪いですが、
読んでいて、非常に胸くそ悪かった。

本としては、読み易いし、
「読みにくさ」というものは無いので、
1時間半くらいで読み終えることが出来る。

しかし、殆ど、
見城徹氏の自慢話。

俺は彼を知らないので、
ただの自慢話が好きなオッサンの話にしか聞こえない。

そして、藤田晋氏も、彼を敬愛しているらしいからか、
彼の言っている事に、賛成しかしていない。
(唯一自分の場合は意見が違う、と言っていたのは、
名刺に対する考えだった。)

俺は見城徹という人を、余り良く知らないので、
だから、こんなに読んでいて腹が立ったのかもしれないが、
何とも、読んでいて疲れる本だった。

*****

この人は、今まで自分流を通して、
仕事の結果を出して来たのだと思うし、
結果を出して来たという意味では、相当凄い人なのかもしれないが、
自分の考えを、相手にも、そして周りの全員にも強要するのは、良く無い。

オラオラ感があり過ぎで、
あなたがMBOにより上場廃止になったのも、
その人間性に何かしら原因があったのでは無いか?とまで思ってしまった。
(恐らくそれは無いと思いますが)

*****

と、批判ばかり書いても申し訳ないので、
本の内容に関して。

余り印象に残ることは無かったけれど、
唯一あるとすれば、
「名刺を切らしていた時には、
速達で手紙を添えて送る」とか、
「相手に何か約束をしたら、
それがどんなに小さな事でも、または相手が誰であろうと、
必ず守る」とか、
そういうところだと思う。

彼は、「そういう小さなところにも、ビジネスチャンスが隠れているから」
という理由で締めくくり、
どちらかというと、
「人間は誠実さが一番だ」という理由で上のことをするのでは無く、
「誠実さが故に、最終的にビジネスチャンスが回って来るから」
という理由で、上のことをやっているように書いてあったので、
それが本当の理由だとしたら、ちょっと引いてしまうが、
それでも、仕事をする上での、
そうした「徹底振り」は、見事だなと思った。

他には、「貸し借り」のことなど。
仕事をする上で、相手に対して「貸し」「借り」のバロメーターを持ち、
相手への「貸し」が100になったところで、
やっと、自分が1の「借り」を作れること、など。

(その話は良かったが、
その例として、郷ひろみの『ダディ』出版の話が出て来て、
結局、郷ひろみとの当時10年来の友情も、
あなたは最終的にはビジネスチャンスを狙っていたのかよ、
といった感が否めなかった。
そういう訳ではないかもしれないけれど。)


諄くなるが、
俺は彼のことを良く知らないので、
このたった一冊の薄い本でどうこう言うのは良く無いと思うが、
それにしても、
この本を文字通り表面的に読んでしまうと、
結局、彼は自分のビジネスチャンスにしか興味が無く、
結局は、「自分のことしか可愛く無いんかなあ」と思ってしまう。

もしくは、本当はそういう人ではなくて、
敢えてこの本では、
読者に、例えそれがネガティブな印象であろうが、
この、「見城徹」という人間の強烈な印象を残す事で、
その後、読者が更に、
「こんな人間が社長をしている幻冬舎の本、
もうちょっとチェックしたろか」みたいに、
ビジネスチャンスに結びつけてはくれまいか、
と、
「天使の様にしたたかに、悪魔のように繊細に」計算して、
「良薬ではなく、劇薬を投じて」、最終的に良い結果を自分にもたらそうとしているだけなのかもしれませんが。
(皮肉ですみません。)

*****

それと、もう一つ言わせてもらえば、
本のカバーが悪い。

二人の写真が、暗い背景の中、
下から光がたかれて撮影されているので、
まるでホラー映画のような映りになっている。

藤田氏の顔色が悪すぎる。

見城氏の私服の趣味が悪すぎる。(あのベルトのバックルは何なんですか。)

そして、題名の「憂鬱でなければ、仕事じゃない」だが、
どちらかというと、
その言葉の意味を読む限りは、
「憂鬱」よりは、「不安」という文字の方が、
本来の意味が通る気がする。

この言葉を、藤田氏が見城氏に聞いて、
ツイッターに載っけたところ、
多くの人が、それにリスポンスしたらしいが、
その人たちは、
恐らく、違う意味で捉えて乗って来た人も多いんじゃないだろうか。

見城氏本人は、
この本の後書きで、
「自分の言葉ながら、中々上手い事を言っている」
と自画自賛していたが、
この言葉に引き付けられる人がいるとしたら、
それは、今の世の中、
仕事が辛くて、ストレスが溜まり、
心が相当病んでいる人が、
「おお、”憂鬱”という文字、
そうだよね、そうだよね」と賛同してこの本を手に取り、
中を開けてみた途端、
見城氏が、
「お前ら、仕事ってものは、
憂鬱な中、自分の血が最後まで流されるまで、
突き進むものなんだ」と、
自分の自慢をひたすらして、
それを次のページで、藤田氏が、
「僕もそう思います」的に賛同しているだけ。

そんな現実に、
面食らう人が多いんじゃないだろうか、
と思ってしまった。

*****

という、
非常に読んでいて、
胸くそ悪くなる本でした。

会った事もない方々の批判ばかりですみませんが、
これが正直な感想です。

2012/2/23 23:11



追記:
しつこいですが、
この本の前書きで、藤田氏は、
「この本は、僕にとってバイブル的な存在になるのは間違いない」
と言っていましたが、
本当だろうか。

この本のデザインが個人的に嫌いなだけかも知れないが、
毎回毎回、見城氏と藤田氏の顔が、
彼らのコラム毎に出てくるのが、ウザくて仕方がない。

見城氏を尊敬している藤田氏には良いのかもしれないが、
自分の顔が、切り抜きで毎回ページに出て来る本を、
本当にバイブルとして、手元に一生置いておけるのだろうか。

*****

はい、口が悪くて失礼致しました。








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