December 26, 2011 21:59

「一勝九敗」by 柳井正

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ユニクロ、ファーストリテイリングの柳井正さんの本。
この本は、2003年時に書かれたもの。
当時、ユニクロ一号店をオープンしてから、二十年が経ち、
その当時の状態で、それまでを振り返った、回顧録の様なものになっている。

*****

読んでいて、まずは非常に「さっぱり」とした印象の本だった。
それは、内容然り、
彼の文章の書き方然りもあるけれど、
一番の起因は、彼の姿勢にあると言えよう。

彼は、自らの事を「僕」と呼び、
常に自分を省みて、成功した時には何が良かったのか、
また、失敗をした時には、何が原因だったのかを、
きちんと振り返り、それを先に行かす姿勢で経営をされている。

よって、ワンマン体制の、社員の意見を聞かない向こう見ずな社長でもないし、
かといって、反省をしてばかりで、
全然押しが足りない、経営者としては弱すぎる様な方でもない。

丁度、上に書いた二極の真ん中を、
バランスよく、存在しようと努力をされている方である。

(”存在する”ではなく、”存在しようと努力をされている”と書いたのは、
人は決して、完璧な状態でいつでもいられるものではなく、
上に書いた様なバランスの良い状態に、常に安定している人はいない中で、
彼は、常に自分のことを客観的に判断しながら、その状態に限りなく近く、
いつでもいられるようにされていることから。)

*****

また、読んでいて面白かったのは、
彼は自分のことを、「頭が良く無い」と称し、
自分の会社に、若くて優秀な人を沢山いれることで、
その人たちの意見を聞きながら、会社全体のバランスと方向性を考えて、
指揮をされているところ。

また、「あとがき」にある、彼が作り上げた会社の信条のようなものがあるが、
その内容も、非常に考えられていて面白い。
(中に、自分を客観的に常に厳しく評価し、甘い所は無いか、それをきちんと性格に判断すべし、という内容があり、正に自分に必要な内容だなと、それを読んだ時に思った。)

*****

また、彼のこの著作の題名にもなっているが、
10戦10勝ほど恐いものも無く、
10戦して1勝するから、その勝ちにも意味があるというもの。
そして、企業の経営だけではなく、
物ごとというのは、ただ机上の空論を立てていてもダメで、
きちんと計画をしたら、その後に実行をして、
失敗をするのであれば、それをなるべく早く経験することが大事であるということ。


俺は、ユニクロというのは、
自分が高校生の頃の2000年前後に、
元SMAPの森君を広告に使って、
フリースを売っているんだな、と認識をしたのが初くらいで、
それ以降は、安くて、しかし、良い商品を扱っている、
というイメージだった。


そして、その後2002年に留学をして日本を離れ、
たまに日本に帰ってくるものの、
常に、ある程度の人気はあり、安定をした”メーカー”だな、
というイメージだった。


それが、2008年前後から、
ヒートテックの成功もあり、
更にユニクロの”ブランド”は確立していき、
今では、”ユニクロ”=”安心して、どこの店舗でも同じ品質の良い商品が買える、格安のブランド店”というイメージになった。(自分の中では)

俺にとって、コンビニで言えば、
セブンイレブンやファミリーマートなどがそれに当るが、
そのように、自分のような一消費者の、
その”ブランド”に対する考えを、
元々は関西発の、”フリースで大ブレイクしたただの激安商品店”から、
今の日本国民の大半が思っているであろう、
”値段はリーズナブルで非常に安いが、かつ、高品質で安心できる商品を提供してくれるブランドのお店”まで持ってくるのにも、
それまでに試行錯誤、及び、彼の根本となる”姿勢”が貫かれたからこそ、
存在するものなんだな、ということを、
しみじみと感じた。

******

以上、非常に学ぶ事の多い本でした。

2011/12/26 21:26


追記:
中には、彼の考える『組織とは』に対する考え、及び彼が実行している内容や、
『女性が職場で活躍する事に対して:また、女性が本当に活躍をできる職場とは、また、その為のどのような上司が必要か』なども書かれている。
それが、彼の考えだけではなく、
彼の部下のケースも参考に、実態が描かれているので、読んでいてとても参考になる。

今の時代、いわゆる「大企業」「今までの考えに固執している”日本株式会社”」がどんどん潰れて来て、経営が危うくなっている中、
実際に、どのような考え、戦略で経営をしていくべきなのかが、
彼の経営の経験と共に説かれていて、
非常に勉強になります。




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