December 14, 2011 22:10

「民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論」by 大前研一

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非常に面白かった。
現在の日本の現状や、
今の不景気を打破する為に、どうしたら良いかなどが、
彼の見解により述べられている。

中に、今後日本が目をつけるべきビジネスチャンスの国として、
中国以外にも、
インドネシア、
ロシア、
ウクライナ(農業の面)、
ルーマニア、
の持つ可能性が述べられているところが面白かった。

中国は、10年前では賃金が低く、
中国を生産の拠点にして、消費の場を日本などの海外に置く「第一ステージ」が通用したが、それも既に時代遅れとなり、
現在では、中国国内を消費の場のターゲットにした、「第二ステージ」に突入している。

それを考えた時に、
中国を生産の拠点にするのではなく、
インドネシアを舞台にした方が、より今後の可能性が大きい、ということ。

また、ロシアを「脅威」として見なすのではなく、
「お客様」として、考えた方が良い、ということ。

(ロシアは、日本が持っている技術を喜んで受け入れる需要があるから、後はロシアが現在お金がないことを考慮して、ロシアとうまく協定を結び、お互いが利益を被れる様に手を回すべきだ、と述べている。
ちなみに中には、日本向けの原発を、サハリンなどの極東ロシアやシベリアに沢山建設させてもらい、それを海底ケーブルで日本に送ってくるプランも説かれているが、これは実際、今年の震災を後にして、難しいかもしれない。)

また、土地が農業に非常に優れているウクライナには、未開発の土地が広がっていることから、そこにビジネスチャンスがあること。
(実際に、それに目をつけて既にビジネスを成功させた
リチャード・スピンクスというイギリス人起業家の話も出ている。)

また、ビジネスをする舞台として、これから大きな伸びが予想されるルーマニアなど。

******


180ページには、これからの時代を生き抜く為の「三種の神器」として、
「英語」「IT」「ファイナンス(財務)」が挙げられる。

ここでは、韓国が如何にそれに力を入れて来たかと同時に、
韓国は日本よりも非常に強力な経歴社会、実力主義であり、
韓国人自らが、自分をビジネスマンとして鍛えてきていること。
それに対して日本人は、社会人としてのレベルが低いこと。

また、韓国の詰め込み式教育の対局として、
フィンランドやデンマークの北欧型ロハス教育が挙げられている。
(「家族」「コミュニティ」「地球環境」の三点を何よりも重要なメインポイントとして、これらの国では教育が行われている。)

この、韓国式教育と、フィンランドやデンマークの北欧式教育の狭間にいるのが、
中途半端である、日本の「ちんたら教育」であると。笑

日本人の今の教育は、韓国ほど詰め込む訳でもなく、
世界で生き残る社会人としての力も弱く、
かといって、北欧の様に外に目を向ける教育でもない為、
自己中心的で、世界に全く興味の無い人間を作り出している、と説いている。

だからこそ大前氏は、
もっと日本人が、自分の所属するコミュニティを巻き込んでの教育体制を作ったり、
(消防士に救助を教わったり、八百屋さんに数学を交えた経済を教わったり、主婦に朗読をしてもらう、など)
または、18歳で成人とすることにより、より個人の「責任感」というものを強くするなど、
色々なアイディアを本書の中で述べている。

******

他に面白かったのが、
現在アメリカでは、イラク戦争で活躍をした兵士を優先的に、企業が採用をしている、というところ。

戦争を経験した20代後半から30代前半の若者は、
既に、戦争中に経験した、突発的な問題に対する解決能力、
及び実行力を兼ね備えているので、
後は、業界の知識は会社に入ってから教えれば良い、というもの。

また、韓国では、
サムスンが、入社した若者社員3000人を、
BRICsやVISTAの国々に送り込み、
一年間は仕事を何もさせず、その国での人脈作りや言語習得に没頭させ、いずれそれらの国で活躍して行く為の土台作りをさせている、など。


また、話はまた変わるが、
「ブランド」というものは、決して値段を下げたり、その質を落としてはいけないことも力説している。それを誤って行ってしまったのが、QUALIAを打ち出したSONYであり、g.u.を打ち出したユニクロである、と。

価格競争に走る前に、
自分たちの顧客が、「何を求めているのか」を徹底的に考え抜き、分析し、
それに対する答えの商品なりサービスを提供すれば、
値段を下げずとも、必ず商品は売れる、ということを言っている。

(中には、最近のコンサルティング会社は、先輩社員の事例などを元に、企業が抱える本質的な問題を解決せずに、枝葉だけを治すようなやり方がはびこっている、と。それよりも、コンサルとは、本来は「何が目的か?」を明確にして、それに対する解決策をきちんと示しだすものだが、それが出来ていない企業経営者が多い、とも述べている。)

*****

などなど、ちょっと順序がバラバラになりましたが、
彼の視点より、現在の日本の現状を分析し、
また、海外の状態も述べた上で、
日本という国、また、日本人が、
今後どうして行ったら良いのか、ということが書かれています。


この本を読んで感じたことは、
日本人というのは、気を抜くと、
すぐに、日本以外の国が存在することを忘れてしまって、
「日本」という国が持つ「常識」とやらにハマってしまって、
その考えから脱却せずに、ブレイクスルーとなる解決策を別の視点から考えられず、
頭がカチンコチンのまま、
会社の経営なり、自分の人生の設計なり、
子供の教育なりを、してしまうものなんだな、ということです。


日本以外の国にいる時には、
その国の視点で物事を見る様になり、
だからこそ、日本にたまに帰って来た時に、
日本を客観的に見られることで、
日本の「当たり前」が、全然世界の「当たり前」では無いことに、
気づくものですが、
それが、日本にずっといると、
いつの間にか、出来なくなってしまっている、というのも事実です。

僕は、この本を読み、
自分が、既に日本の考え方にカチコチにハマり、
日本以外の視点から、物事を見ることを、
随分出来てなかったんだなあ、と感じました。

日本に住み、そこで暮らして行く以上、
その国のルールに従い、その国の常識に適して、
行きて行くことは大事ですが、
同時に、その国のモノの見方でしか、自分の人生、
及び、この世界を見られなくなるということは、
怠惰でしか無いと思います。

同時に、体は日本にいようが、
常に、この世界を標準に見て、
その中で日本を他の国と比べながら観察し、
色々とものを考えたり、アイディアを練ったりできるような
State of Mindに自らをしておくことも、
自分の努力次第で出来るものです。
(こういう本を読んだり、世界情勢を常に調べたり、海外に定期的に足を運ぶなどする中で。)



自分の人生が詰まったと感じたり、
今の日本がどうなるか分からないと感じたり、
その解決策が分からないと思うときは、
中ばかり見るのではなく、
視野をぐんと広げて、遠い所から、
自分を客観的に見ることも、
有効的な手段の一つです。

2011/12/14 22:09


補足:
193ページに、
日本は現在、大学卒の卒業率が低くなり、
日本全体が騒いでいるが、
実際に他の国と比べてみると、
全然そんな事はない、
むしろ、日本は、
「大学を出たら、必ず仕事が見つかる。
それが保証されている」と誰もが認識をしている時点で、
甘すぎる、ということが書かれている。

米誌「ビジネスウィーク」(2010年6月7日号)によれば、
アメリカの就職率は24.4%、日本が91.8%、中国が70%、イギリスは15%であるらしい。

これに対して、日本国は、
就職率を上げる動きをしようと検討している。
これでは、大学で勉強もして来ず、
世界で通用する人材になる為に自らを鍛え上げて来なかった人材を、
無条件で、企業が受け入れる様に促すものであり、
企業側がかわいそうだ、と。

正に、その通りだと思う。

2011/12/15 12:59



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