November 27, 2011 18:21

「池上彰の就職読本―就職難もまたチャンス」by 池上彰

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池上さんの本です。
ずっと気になっていて、やっと読みました。

この本は、あくまでもこれから就職活動をする大学生をメインに向けて書かれたものですが、既に社会人になっている人、または、現在企業で人事を担当している人、または、自分の様に、転職活動をしている人にもお勧めの本だと思います。(良く見たら、帯の所に「転職!」ともありますね。)

この本を読んでいて思ったことが二点ほどあります。

まず一つ目は、彼の書く本は、「非常に読みやすい」ということです。
彼は元々NHKで記者をしており、その際に、文章を書く能力、または、その場の状況を相手に伝える能力などを伸ばしてきましたが、その努力のおかげでしょうか、現在は非常に上手なコミュニケーションの達人として知られています。
何しろ、文章が本当に分かりやすく、読みやすい。まるで流れて行くようです。
また、たまに入るユーモアの大事さも忘れていません。

今は僕も、彼のように読みやすい文章で書き、綺麗な日本語を使ってこの感想文を書こうと心がけて文章を書いていますが、こういう意識をして文章を書く習慣をつけないと、お粗末な文章しか書けない人間になってしまいます。
綺麗な文字を書ける人は、その分その人間性が素晴らしいと思われる傾向が強い様に、綺麗な文章を書けたり、話せたり出来る人も、やはりそうでない人に比べて、信頼感や安心感、そういったものを相手により強く与えることができると思います。

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二つ目に、世の中にいわゆる「〜就職本」というのはありふれるほどあると思いますが(実際、今まで自分はこういった類いの本を毛嫌いして、一度も読んだことがありませんでしたが)、この様な本は、結局は、書いている著者の体験談をベースに、
彼らが考える、「私だったらこうする」的なことが、分かりやすく書いてある、というものに過ぎない、ということです。(もちろん良い意味で。)

例えば、先日僕が初めて読んだいわゆる「就職本」である、苫米地氏の著作である、「なりたい自分になれる就活の極意」。

この本は、苫米地英人という人間が、自らの強みを生かして、「私だったらこうする」というスタンスで、就職活動に対する考えが書かれています。

彼の場合は、博士ということもあり、物事を分析する能力が優れていますし、頭が元々良い人ですから、企業研究をする際にも、会社の決算報告書などを会社に請求したり、自らネットで調べたりして、その企業の内部を、自ら調べる方法を薦めています。
また、企業を調べるには、必ず日経新聞を読むことを薦めています。

しかし、池上氏の場合には、もう少し分かりやすく大衆的に書いてあるのかもしれませんが、必ずしも決算報告書などは分からなくても良いから、まずは企業のことを訪問してみて、その雰囲気を見てみることを薦めたり、または、新聞に至っては、日経に関係無く、主要の新聞を一つは最低読むことを薦めています。(日経はあくまでも経済の情報誌であり、学生には難しすぎる、ということから。)

上記の二点はあくまでも端的な例であり、二人とも根本は同じことを言っていますが、(つまり、その企業をきちんと調べて、『自分に合っているかどうかをしっかりと見極めましょう』という点と、『世の中の情報をきちんと掴み、社会人としてのベースをきちんと作り上げておきましょう』ということです。)
同じ、「〜就職本」でも、その本を書く著者によって、内容は全くと言っていい程、異なるものになるわけです。むしろ、その著者の得意技がバンバンとその本の中で披露されていますし、その著者の別の著作に書いてある、彼らのいわゆる「売り」が惜しみなく書かれていますから、「ほうほう、そういったやり方もあるのか」というスタンスで読んで行くと、それだけ色々な方の考え方、ものの見方、やり方を自らの中に吸収することができ、それだけ自分自身が強くなることができます。

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と、上記の二点を読みながら主に感じました。

後は、池上さんというのは、人間的に非常に温かい人だなあ、ということです。
彼は以前、「週刊こどもニュース」のお父さん役をやっていましたが、彼はまさに、「お父さん」。
この本の中でも、「まあ、世の中はシュウカツシュウカツと騒いでいるけれども、仕事が決まっていない人も実際は多いんですし、決まらなくてもいいじゃない。それならば、それをチャンスと捉えて、一年間教養を広げるために更に勉強しても良いし、欧米の学生を見習って世界へ旅に出ても良いし、自分で起業をしてもいいんじゃないでしょうか」と。


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今、自分が感じるのは、前に苫米地氏の本の感想にも書きましたが、
日本の社会というのは、結局は官僚が作り上げたものであり、そのレールを一度踏み外すと、再びそこへ戻るのは、中々難しいものがある、ということです。

28歳の人間である場合、ストレートで一度も浪人経験などなく、社会人になった人間は、社会人経験6年目に当たりますから、その時点で、何かしら経験のあるフィールド(業界)でないと、転職は難しくなります。
自分の場合は、語学力(英語力ですが)が高い為、その点だけを武器に、書類選考を通過している様なものですが、それすらも無かったら、殆ど書類も通りにくいんだろうなと思います。

同時に、上に書いたような、「すき間の無い」社会というものが、日本の社会ではありますが、戦後からバブルの崩壊まで続いて来た、「大企業、有名起業ほど良い。一つの会社で一生働いて行くのが良い。会社と人生を共にするのが良い。」という、以前の”常識”は、確実に過去のものとなりつつあります。

先日、自分が登録をしている、あるエージェントの方とお話をしていましたが、某有名コンピューター系の大企業では、40代以上のいわゆる「仕事はバリバリでいるが、同時に給与も年齢面を考えて上げなければならない」層の方々が、どんどんとリストラをされているそうです。そして、その様に、40代以上の高給取り層を一気に切った上で、今度は、同じ様な仕事ができる20代後半から30代の層を、既に切った40代の層よりも安い給与で、一気に募集をしている、とのことです。

その様に、今の時代、大企業であればあるほど、「いかに安く人件費を抑え、いかに企業
として効率を上げ、生産性、売上げを上げるか」にフォーカスが行き、私たちの親の代では常識であった、「大企業に勤めれば、定年まで安定」という考えは、すでに『幻想』となっています。

だからこそ、これからの時代は、自分だけが持つ独自の「プロフェッショナル力」が求められて来ます。それは、自分だけの「ブランド力」であり、「あれを任せたら、あいつの右に出る者はいない」という境地まで自分を持ってこないと、いつ自分の勤める会社に切られるか分かりませんし、そういう状態になっていないと、いざ30代後半、40代、50代で首を切られた時に、「私は部長ができます」「私は課長ができます」では、どの企業でも雇ってくれません。
(この話は、池上氏もこの本の中で触れています。つまり、「私は部長ができます」というのは、その人が勤めていた企業内では、その企業内の政治や人間関係を知っているから、なれたものの、外に出た時に、「じゃあ、あなたは人間として、『何』ができるんですか?」と聞かれて、ずばっと答えられないようでは、「つぶしがきかない」ということです。よって、池上氏も、「つぶしがきく」キャリアを身につけなさい、と言っています。)


よって、僕が相談をしていたそのエージェントのコンサルタントの方も、
「これからの時代は、いつでも独立できるようになっておくことが大事です。”企業に面倒を見てもらう、企業に給料を毎月もらう”のでは無く、”企業をいつ出ても、自分の力でお金を作り出せる”状態に自分を鍛えておくことが、本当の意味でのキャリアアップと言えます」と。

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そのコンサルタントの方は主に、40代以上から50代の方を相手に転職のサポートをされていますから、僕と初めて会った際には、「あなたはまだ28歳で、何でもできる。可能性に満ち溢れています。何だかこちらがワクワクしてきます」と言われましたが、実際に自分が転職活動をしてみると、これから移ろうとするその業界での経験が無い、という理由だけで、書類も通らない、ということが多々あります。

これはまた別の方で、以前人事の仕事をされていた方がいらっしゃいますが、その方曰く、「日本の人事制度は駄目です。転職とは、新しい人材をその会社に入れて、企業を活性化させて行くことなのに、その業界での経験が無いという理由だけで、転職を受け入れない。それでは、そもそも転職を受け入れる本来の意味が成されていない」と。

まあ少なくとも、エージェントに登録をするそれらの企業は、「即戦力」が欲しいため、以前に経験が無い方を採用しない、というのはごもっともは考えなのだとは思いますが。よって、自分がこれから進みたいフィールドをきちんと見極めた上で、そのフィールドで生き残って行く為に、相当覚悟をして、その世界に足を踏み入れて行くしかありません。

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ですので、就職、転職に限らず、「働く」ということに対する結論としては、
「自分がこれから戦おうとしているフィールドに入る以上、そこのルールをまずは熟知すること。その上で、自分がプレイヤーとしてどれだけの強みを持っているのか、常に客観視をして、いつそのフォールドから追い出されようと、別のフィールドでも生き残って行ける絶対的な強さを身につけておけ。一つのフィールドで戦う以上、そのフィールドでのルールに文句を言うな。ルールはルールであるから。そのルールが気に入らないのであれば、戦うフィールドを変えろ、または、自ら好きな様にルールを作り出せるフィールドを新しく作り出せ。」ということです。

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まあ、当たり前の結論となりましたが、その根本をしっかりと考え抜いておくことが大事だと思います。

そして、いつもの様に自分の体験談と感想で終わりましたが、池上さんの本は、読むと必ず得られるものがあります。

2011/11/27 18:06




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