May 12, 2011 12:41

"Jerry Maguire" (邦題「ザ・エージェント」)

Jerry_Maguire_movie_poster


めちゃくちゃ良かった。

最近観た映画の中で、一番良かった。

トムクルーズ演じるJerry Maguireは、
スポーツ界のエージェント。

それまでは、金と競争が当たり前の世界で、
金と自分の利益だけを目当てに、走り続けて来たが、
ある日、ふと、
自分の頭の中に、一つのアイディアが浮かぶ。

それは、仕事への情熱、
純粋なパッション、
選手への愛、
そういったものを、真ん中に置き、
利益の追求だけではない、
”本物の仕事”をしよう、といったもの。

そのアイディアを、夜中の2時から書き上げ、
Kinko'sでコピーを作り、
同じ会社の全員のロッカーに入れる。

その”提案書”を読んだ同僚たちは、
皆彼に拍手を送るが、
やはり、彼は会社からは首にされる。
それも、自分の後輩である人間に、
侮辱的に首を言い渡される。

その後彼は、
一人独立するわけだが、
自分に首を言い渡したそいつに、
自分が契約を交わしていた選手の全員を奪い取られる。
ただ一人を抜かしては・・・・。

*****

というストーリー。


元々、この映画が公開された1997年頃、
テレビで松田聖子が、
「この映画がすっごく良かったんです!」
と言っていて、
それを見て、ビデオで借りて来た見たのが、
確か中学2年生の頃。

その時は正直、
この映画の良さが全く分からなかったし、
ちっとも感動しなかった。

ただ、トムクルーズが、
オフィスの中で、"Show me the money!!!"と叫ぶ部分と、
車の中で、"I'm free, free falling!"と歌う場面。
後は、出てくる子供(この子がめっちゃかわいい)が、
空港でいなくなって、母親のレネー・ゼルウィガーが、
"Don't you ever do that. Ever, ever, ever"と叱るところ、

あと、最後のシーンで、
子供が野球のボールを一気に投げるところ、

それくらいしか、覚えていなかった。


******


先週、この映画が急に気になって、
ツタヤで借りて来た。

二日前の夜から見始めて、
今日見終わりました。


いやあ、よかった!!

中々、感動できる映画は少ないですが、
この映画は、本当によかった。

トムクルーズの辛い状況。
会社をクビにされて、一人で保証も無いまま、
走る様。

彼と、ロッド(彼が残した最後のアスリート)との、
やり取り。

ドロシー(レネー・ゼルウィガー)と、
彼女の女友達とのやり取り。

ロッドと奥さんのやり取り。

全てのシーンが、
全てのキャラクターが、
濃く、リアルに、描かれていました。


*****

最後、
ロッドが試合中に頭から地面に突っ込んで、
その後、長い間起き上がらなかったとき。

数分後に、彼が起き上がり、
観衆の前で歓声を浴びる。

そこでじわっと来ましたが、
その後に、ロッドがロッカールームから出て来て、
それまでは一度も見向きもしなかったTVレポーターたちが、
全員ロッドにマイクとカメラを向ける中、
彼は、それには一切答えず、
ジェリーを探します。

そして、彼を見つけた瞬間、
ジェリーは、ロッドに目配せで、
「お前はインタビューに答えろよ」と言いながら、
彼の目も潤んでいるのですが、
そこでロッドは、ジェリーに歩み寄り、
「お前のおかげだ。ありがとう」と、
熱いハグを交わす。


もう、そのシーンでは、
涙ボロボロですな。



それを遠くから見ていた、
ロブ・シュガー(ジェリーをクビにしたムカつく後輩のエージェント)
と、彼の選手。

彼の選手はそこで、
「俺たちもあんな関係だったら良かったぜ」と
一言こぼす。

そこでロブは、選手にハグを白々しくしようとするが、
よせよと拒否される。


横では、本当の”信頼”を持った、
ジェリーとロッドが抱き合っている。

*****

この映画は、ジェリーの苦悩、
仕事に対する理想と、現実のギャップを埋める難しさ、
彼と、ロッドとの間のやり取り
(エージェントが如何に自分のクライアントを思う様に動かし、結果を出すか)、
そういった、仕事の難しさや、やり方しかり、

一人の人間として、
仕事と、恋愛との両立、
仕事と、家庭との両立、
その2つのバランスの大事さ、取り方の難しさ、

そういったものも同時に描いた、
非常に優れた映画でした。


途中観ていて思ったのは、
ジェリーは、仕事熱心な余り、
仕事には長けているが、恋愛には長けていないこと。
彼は、人を「愛する」ということを知らず、
全てを、「利益」で考えてしまっていること。
仕事においても、私生活においても。
(なぜなら、愛とは、人を無条件に愛することであり、
利益の問題ではないから。)

それとは逆に、ロッドは、
自分の私生活は、奥さんへの愛、
息子への愛、兄弟への愛、
それらは本当に無条件で素晴らしいが、
仕事においては、
自分の利益を考え、
結果、態度が傲慢になり、
素直に自分の良さを引き出すプレーが出来ていないこと。


その2人の男が、
お互いに、真正面からぶつかり合いながら、
ロッドはジェリーに、人を愛するとは、
家庭を持つとは、
結婚とは、ということを気づかせる。

それとは逆に、ジェリーはロッドに、
仕事において、利益ばかりを追求していたら、
結果は出ない、ということを気づかせる。

お互いに、言われていることは当っているので、
お互いに腹が立ち、ムカつき、
何度も衝突するが、
全力でぶつかった結果、
その先に待っていた、「勝利」に、
2人とも、涙を流しながら、抱き合う。


そんな過程が描かれていました。

******

また、一度離婚をして、
恋愛に対して、警戒心の強くなっているドロシー。
彼とジェリーは一度、その時の勢いに乗って結婚するが、
やはりその関係はうまく行かず、
一度、ドロシーからジェリーに、
「別れましょう」と切り出す。

ジェリーはジェリーで、
結婚というものを、ただの「忠誠」、「信頼」、
その現れだとしか思っていない。
つまりそこに、愛はない。

しかし、最後にロッドとロッカールームの前で抱き合った後、
妻と携帯で話すロッドの姿を観て、
そこから一目散に、ドロシーの住む家に駆けつける。

そこで彼が言う、有名な台詞。

"You complete me" (キミが僕を完全にする)

そこで彼女は、もう言葉はいらないから、
と彼の言葉を遮り、

"You had me at hello"(あなたと会ったその時から、もうあなただったのよ)




それまで、仕事に理想像を追求し、
恋愛にフォーカスせず、
全てを仕事の結果第一で考えていた彼。

しかし、初めて、
その理想像が一度完結されたとき、
そこで初めて、
自分に足りていないものに気づく。

それが、「愛情」であり、
自分の家族、家庭、
誰か、愛している人が横にいる、ということ。

それに気づき、初めて彼は、
真摯に、目の前の女性に、向き合う。

愛情とは、
「利益、損得」では無いことを、
心のどこかで気づきながら。



******


俺がこの映画を初めて観た時は、
14歳とかだったわけで、
そりゃあ、この映画の良さが分かる訳ないよね。

逆に今は、
この映画のテーマとする、
仕事、恋愛、
そういうものを、経験してきているから、
その良さがとてもよく分かった。


最近、映画を観ていたり、テレビを観ていると、
昔はちっとも涙を流すなんてなかったのに、
押さえきれずに、涙が出てしまうことが多い。

人って、その人の気持ちがわかるからこそ、
共感できるし、
涙を、流せるんだよね。


ずっと子供だった俺も、
やっと、段々と、
大人になってきたんですね。

まだまだ、子供ですが。

*****


そんなわけで、「ザ・エージェント」。
絶対おすすめ。


2011/5/12 12:40am









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