April 12, 2008 01:36
「オハイオへの旅」
今回、カリフォルニアからオハイオ州まで、バスで片道3日、合計6日間、バスにカンヅメになって行って来た。
走行距離は、片道2800マイル。
往復、5600マイル(8960キロ)。
日本列島にすると、4,5往復分。
今回通ったルート
(ちょっと見た目が気持ち悪いが、それぞれのポイントは、今回バスがとまった停留所がある場所)
下の「+」をクリックすると、地図が拡大できます。
View Larger Map
旅の理由は、今から3年前、2005年の夏に、アメリカをアムトラック(大陸横断鉄道)を使って一周していた際に出会った家族に、また会いに行くため。
今年77歳になる旦那さんのフランクと、74歳になる奥さんのエスターとは、コロラド山脈を列車が通っていたときに、たまたま車両の中で出会い、その後、実際にニュージャージーに住む彼らの家まで遊びに行き、とても仲良くなった。
その二人と出会ったいきさつについては、こちらをどうぞ。
*****
そんなわけで、この夫婦に会いに、アメリカ大陸をほぼ全部、バスで横断してきた。
前回は列車だったので、移動に非常に時間がかかったとは言え、自分のパーソナルスペースが広くあったので、まだ良かった。
列車の中はとても開放的で、中には、「展望室」みたいのがあって、壁のほとんどがガラス張りで、列車から見える素晴らしい大自然の景色を眺められることも出来た。
夜も、一番安い席のチケットを買っていたため、シートは真っ直ぐには倒れないものの、リクライニングしたので、まあまあよかった。
・・・しかし!!
今回のバスの旅は、前回の列車の旅とは、打って変わって大違い。
そのキツさは、想像範囲を確実に超えていた。
前々から、グレイハウンド(このバス会社の名称・通称『グレハン』)を使ったことがある友達に聞くと、
「グレハンは絶対にやめたほうがいい」
それしか答えが返ってこなかった。百発百中。
しかし、オハイオまでの飛行機チケットは、一番安くても、タックスとかを全部含めると、400ドル近くもする。
今の自分にそんなお金はないので、一番安い、グレハンを選ぶしかなかった。
出発日の1週間前までにオンラインで買うと、かなり安くなる割引を見つけ、
往復225ドルで、チケットを手に入れた。
しかし、旅に出る前から、みんなにこの旅の話をする度に、気が重かった。
「バスに片道3日間か・・・・ やだなあ・・・」
全然乗り気がしなかった 笑
それでも、今まで手紙でずっとやり取りをして来たエスターとフランクには、
自分がまた日本に帰る前に、必ず会いに行きますと約束していたので、
今しかチャンスはないと、行くことにした。
それに、バスでアメリカ大陸を横断するなんて、今しか出来ないってのもあったし、
いい経験になると思った。
「また、旅の経験が一つ増えるぜ」なんて。
*****
俺のそんな軽い意思の決断は甘く、
バスに乗ったその瞬間、一気に、自分の読みの甘さに気付いた。
*****
03/31/08 日曜深夜
Fresno(フレズノ)のグレハン・バスステーションに、咲子さんに車で送ってきてもらっていた。
咲子さんは、フレズノ・ステイトで、アスレチック・トレイナーをしている大学院生。
こんな深夜のスケジュールにも関わらず、わざわざ出発の数時間前には、
お米2合半分の、バカでかいおにぎりを5つ、
卵焼き、
ポテトサラダ、
そして梅干を小さな容器に入れて、紙袋に入れて用意してくれました。
この日の昼間に、俺も自分で、スーパーマーケットに行って、
ベーグルやバナナチップス、水など、
ある程度の食料を買い込んでいたため、
彼女が作ってくれた食べ物も合わせると、紙袋2つ分のものすごい量の荷物に・・・・。
「こんなに食えんのかな」と思いながらも、咲子さんに大変感謝いたしました。
料理をしてくれている咲子さん
夜の11時半ごろ、フレズノのダウンタウン内にある、非常に治安の悪い駅に着き、
そこのカウンターでチケットを受け取り、席に座って待った。
咲子さんは、12時ごろ、家に帰っていった。
その後、本を読みながらバスを待ち、
12時45分ごろ、ついに自分の乗るバスが呼ばれた。
荷物を抱えながら中に入ると、どの席も既に埋まっている。
大半の客は、黒人、白人、メキシカンの男たち。
それから、メキシカンの家族連れもいる。
ほとんどの席は、体のでかい男どもが占領し、
片方のサイドに2つずつシートがあるとはいえ、
やつらの丸々と太ったデカい体は、席の1,5個分を占めている。
その中で、唯一俺が座れそうな席を見つけ、
隣の男に席が空いてるか聞き、
そこに腰掛けた。
俺が席に着いた瞬間、
車内の電気は一気に消え、
真っ暗な中、バスが走り始めた。
席を倒そうと思ったが、
壊れているのか、どう頑張っても全く動かない。
がびーんと思いながら、ほぼ直立のまま、
寝ることとなった。
心の中では、「完全にグレハンをなめていた・・・」という声が聞こえたものの、
今さら嘆いてももう遅く、
その心の叫びが聞こえない振りをしながら、平常心を装って、寝ようとした。
しかし、心の中では、「こんなんで俺は3日間も持つのかよ・・・?」と、
叫びがとまらない。
「いや大丈夫ダイジョウブ、こんなのすぐに慣れるぜ」と自分に言い聞かせながらも、
やはりその向こう側では、
「お前こんなの3日も耐えられんのかよ・・・!?」と、声がする。
今思うと、完全に動揺していたが、
そんな自分の気持ちは押し殺して、とにかく寝に入った。
最近、サバイバル精神を忘れ、甘い生活に浸りきっていたなと思いながら・・・
(続く)
走行距離は、片道2800マイル。
往復、5600マイル(8960キロ)。
日本列島にすると、4,5往復分。
今回通ったルート
(ちょっと見た目が気持ち悪いが、それぞれのポイントは、今回バスがとまった停留所がある場所)
下の「+」をクリックすると、地図が拡大できます。
View Larger Map
旅の理由は、今から3年前、2005年の夏に、アメリカをアムトラック(大陸横断鉄道)を使って一周していた際に出会った家族に、また会いに行くため。
今年77歳になる旦那さんのフランクと、74歳になる奥さんのエスターとは、コロラド山脈を列車が通っていたときに、たまたま車両の中で出会い、その後、実際にニュージャージーに住む彼らの家まで遊びに行き、とても仲良くなった。
その二人と出会ったいきさつについては、こちらをどうぞ。
*****
そんなわけで、この夫婦に会いに、アメリカ大陸をほぼ全部、バスで横断してきた。
前回は列車だったので、移動に非常に時間がかかったとは言え、自分のパーソナルスペースが広くあったので、まだ良かった。
列車の中はとても開放的で、中には、「展望室」みたいのがあって、壁のほとんどがガラス張りで、列車から見える素晴らしい大自然の景色を眺められることも出来た。
夜も、一番安い席のチケットを買っていたため、シートは真っ直ぐには倒れないものの、リクライニングしたので、まあまあよかった。
・・・しかし!!
今回のバスの旅は、前回の列車の旅とは、打って変わって大違い。
そのキツさは、想像範囲を確実に超えていた。
前々から、グレイハウンド(このバス会社の名称・通称『グレハン』)を使ったことがある友達に聞くと、
「グレハンは絶対にやめたほうがいい」
それしか答えが返ってこなかった。百発百中。
しかし、オハイオまでの飛行機チケットは、一番安くても、タックスとかを全部含めると、400ドル近くもする。
今の自分にそんなお金はないので、一番安い、グレハンを選ぶしかなかった。
出発日の1週間前までにオンラインで買うと、かなり安くなる割引を見つけ、
往復225ドルで、チケットを手に入れた。
しかし、旅に出る前から、みんなにこの旅の話をする度に、気が重かった。
「バスに片道3日間か・・・・ やだなあ・・・」
全然乗り気がしなかった 笑
それでも、今まで手紙でずっとやり取りをして来たエスターとフランクには、
自分がまた日本に帰る前に、必ず会いに行きますと約束していたので、
今しかチャンスはないと、行くことにした。
それに、バスでアメリカ大陸を横断するなんて、今しか出来ないってのもあったし、
いい経験になると思った。
「また、旅の経験が一つ増えるぜ」なんて。
*****
俺のそんな軽い意思の決断は甘く、
バスに乗ったその瞬間、一気に、自分の読みの甘さに気付いた。
*****
03/31/08 日曜深夜
Fresno(フレズノ)のグレハン・バスステーションに、咲子さんに車で送ってきてもらっていた。
咲子さんは、フレズノ・ステイトで、アスレチック・トレイナーをしている大学院生。
こんな深夜のスケジュールにも関わらず、わざわざ出発の数時間前には、
お米2合半分の、バカでかいおにぎりを5つ、
卵焼き、
ポテトサラダ、
そして梅干を小さな容器に入れて、紙袋に入れて用意してくれました。
この日の昼間に、俺も自分で、スーパーマーケットに行って、
ベーグルやバナナチップス、水など、
ある程度の食料を買い込んでいたため、
彼女が作ってくれた食べ物も合わせると、紙袋2つ分のものすごい量の荷物に・・・・。
「こんなに食えんのかな」と思いながらも、咲子さんに大変感謝いたしました。
料理をしてくれている咲子さん
夜の11時半ごろ、フレズノのダウンタウン内にある、非常に治安の悪い駅に着き、
そこのカウンターでチケットを受け取り、席に座って待った。
咲子さんは、12時ごろ、家に帰っていった。
その後、本を読みながらバスを待ち、
12時45分ごろ、ついに自分の乗るバスが呼ばれた。
荷物を抱えながら中に入ると、どの席も既に埋まっている。
大半の客は、黒人、白人、メキシカンの男たち。
それから、メキシカンの家族連れもいる。
ほとんどの席は、体のでかい男どもが占領し、
片方のサイドに2つずつシートがあるとはいえ、
やつらの丸々と太ったデカい体は、席の1,5個分を占めている。
その中で、唯一俺が座れそうな席を見つけ、
隣の男に席が空いてるか聞き、
そこに腰掛けた。
俺が席に着いた瞬間、
車内の電気は一気に消え、
真っ暗な中、バスが走り始めた。
席を倒そうと思ったが、
壊れているのか、どう頑張っても全く動かない。
がびーんと思いながら、ほぼ直立のまま、
寝ることとなった。
心の中では、「完全にグレハンをなめていた・・・」という声が聞こえたものの、
今さら嘆いてももう遅く、
その心の叫びが聞こえない振りをしながら、平常心を装って、寝ようとした。
しかし、心の中では、「こんなんで俺は3日間も持つのかよ・・・?」と、
叫びがとまらない。
「いや大丈夫ダイジョウブ、こんなのすぐに慣れるぜ」と自分に言い聞かせながらも、
やはりその向こう側では、
「お前こんなの3日も耐えられんのかよ・・・!?」と、声がする。
今思うと、完全に動揺していたが、
そんな自分の気持ちは押し殺して、とにかく寝に入った。
最近、サバイバル精神を忘れ、甘い生活に浸りきっていたなと思いながら・・・
(続く)