November 19, 2007 21:48

「The Intelligent Design of Jenny Chow」

11月16日 金曜日

今回も行って来ました、サヤカさんの劇。

彼女については、ここでも何回か触れていますが、
僕が通っていたCSULBにて、Theater Majorとして演劇の道を歩む、
才能ある役者さんです。

今回の劇のタイトルは、
「The Intelligent Design of Jenny Chow」。

jenny chow







***簡単なあらすじ

22歳のジェニファー・マーカス。カリフォルニアに住むが、生まれは中国。
小さい頃に、親に捨てられていたのを、アメリカ人の今の両親に養子として受け入れられる。

自分が小さい頃に心に負った傷のせいか、強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)と、広場恐怖症(agoraphobia)を併せ持ち、自分の家から外に出ることができない。

ビジネスばかりに忙しく、ほとんど家にいない自分の母親と常に対立し、
自らの本当の産みの母親に会いたいと願う。

オンラインで知り合った学者に頼み、ジェニファーは、自分そっくりのロボットを作り出す。
そして、そのロボットを通して、中国にいる、実の母親に会いにいくのだが・・・

***


サヤカさんは、このタイトルでもある、ロボットのジェニー・チョウ(Jenny Chow)を演じていました。

この舞台は、舞台設定もシンプルな上、話の前半は、主人公であるジェニファーが、自分の机に向かい合って、椅子に座ったまま喋る、という状態で話が進んで行くので、正直ちょっと、退屈でもありました。

しかし、前半のラスト。サヤカさんがロボットとして舞台に登場した途端、
舞台の雰囲気が一気に変わりました。
それまでモノトーンだった空気が、一気に華やかになりました。

彼女の演じるロボットは、初めはコードに繋がっていて、黒い服を着て、電気装飾が体中に付いて、動きも、表情も、喋り方も、見るからに「ロボット」なのですが、それが段々と人間らしいものに変わっていきます。

最初の登場で、ロボットであるジェニーが、ジェニファーに握手を求めるシーン。
そのサヤカさんのロボットとしての動きが、とても印象的でした。

***

話の途中で、サヤカさんが空を飛ぶシーンがあると聞き、どんな風に飛ぶんだろう?と色々考えていましたが、まさかああ来るとは!!
完璧にやられましたね。
かなり面白かったです。

***

話がクライマックスに近づくにつれ、見るものの心に訴えかけるシーンが繰り広げられます。

実際に、ロボットであるジェニーが、中国まで着き、実の母親に会うシーンと、
そこで自分の存在を受け入れられず、アメリカに帰って来て、ジェニファーからも拒絶をされるシーンでは、かなり悲しいものがありました。
観客の中でも泣いている人もかなりいました。

***

この劇を見てみて、普段、外見上は何事もなく幸せに暮らしているような人でも、
その人の過去の経験のせいで、何かしらの心の傷を抱え、それのせいで、悩み、苦しみながら生きる人が大勢いること。もしかしたら、この世の中の人、全ての人が、何かしらの傷を負っているのではないか。

そして、自らの受けた傷のために、自分の周りの人にも、また辛く当たってしまい、そうやって当たられた人も、また傷ついていく。

それが悪循環を生み、人が人を傷つけ、またそれが他の人を傷つけていく。


世の中は、そんな状態なのかなと、感じた。


***

劇の最後に、ジェニファー・マーカスは、また一人になってしまう。
自らが作った、自分のコピーであった、ジェニーさえも、追いやってしまったからだ。

そこで、彼女は、観客に、「こんなわけで、私は今の状態にあるわけです。でも、私は全然大丈夫よ。いつでも話しかけてね」みたいな感じで終わる。

本当は、自らの心の傷が癒えていないばかりか、更に傷ついてしまった後なのに、それでも彼女はやっていかなければならないから、「自分は何でもない、大丈夫」という”素振り”で、話し続ける。


このシーンを見て、何か、悲しくなってしまった。

この世の中に、こうして生きている人が、何人いるのだろうか。

自分も、そういう時期があったから、そうやってして行かなければいけない人のことを考えると、切なくなってしまう。

***

演技に関しては、サヤカさんのロボットとしての演技は、非常にうまかったと思います。ロボットであるが、同時にどんな人間よりも純粋である、ジェニーの役を、うまく演じていたと思います。
特に、体の動かし方がとても上手で、非常にメリハリがあり、見るものの目を引いていました。

自分は演劇をしたことがないので、ああやって完璧に役になり切って演じることが、どれだけ難しいのか、想像に難いですが、それを堂々とやり切り、観客のハートをつかむ演技をすることができることは、すごいと思います。


また、主役であるジェニファー役の方も、同じ日本人なのに、長いセリフをよくこなしていました。ジェニファーの、中はもろくてはかないのに、それを強がって生きている少女の心意気を、うまく表現していたと思います。

そして、博士役など一人3役をこなした、ショーンも、とても上手でした。
3役とも、役柄が全て違っていて、非常によかったです。
(博士役は、元ルームメイトのひろぽん君を思い出させてくれました)

***

胸に訴えるものもあり、笑いもある、見ごたえある劇でした。
ロングビーチ付近に住んでいる人は、ぜひご覧あれ。

今回の劇のReviewと劇の情報はこちら。



サヤカさん、どうもありがとうございました。
これからも頑張ってください。応援しています。

11・19・07



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