July 14, 2007 17:44

「信頼」

中学のとき。
俺は、前にも書いたように、友達が全然いない時期があった。
中学2年の夏以降から、中3の終わりまで。
同じ学年の男子ほぼ全員と、同じ部活の仲間たちからも、仲間はずれにされていた。

毎日学校へ行っても、誰も喋る友達はおらず、
男子からは後ろ指を指され、女子からは目が合ったら、すぐに目をそらされる始末。
一日中、誰とも会話を交わさないような日々が続いていた。


そんな中、同じクラスで、唯一、
俺のことを差別しない人がいた。
ナベちゃんという。同じクラスの友達だった。

ナベちゃんは、かっこよく、リーダーシップもあり、
体育祭などでは必ず応援団の団長となったり、
クラスの学級院長になったりと、
誰からも人気者のクラスメートだった。

彼は、女子からももて、
男子からも、いつも上に見られ、慕われていた。


俺が皆から避けられ始めた最初の理由は、
同学年の不良グループの二人組みと、中二の二学期の頭に喧嘩をしたことからだった。

その二人ともみ合い、
そいつらが、他のメンバーにも陰口を言い出し、
気がつくと、同学年を占める不良グループの全員が、
俺を避けるようになっていた。

同じ部活のメンバーから避けられるようになったのも、
同学年のキャプテンと、途中から入ってきた新入部員がつるむ様になり、
その新入部員は、俺と喧嘩したやつらが属する不良グループの仲間だったため、
そいつがキャプテンに俺の悪口を言い出したのがきっかけだった。

キャプテンは、次第に部員全員と、俺の陰口をたたき出し、
気づいたときには、それまでずっと仲良くやってきた部員全員が、
俺のことを避けるようにまでなった。


クラスへ行っても、誰も話す人はおらず。
部活に行っても、同学年のやつら全員はおろか、
後輩たちにまでからかわれる始末。

それまで、一度もそういう経験をしたことがなかった自分は、
それが今、自分に起きているという真実を受け入れがたく、
心をひたすら麻痺させ、何も感じなくさせていた。

そうしないと、余りに毎日ショックすぎて、
生きていけなかったのだ。

家へ帰っても、食べ物の味もよくわからない。
心が麻痺しているので、何が“楽しく”て、何が“つまらない”のかさえも、分からなくなっていた。

親にも、恥ずかしくて言えない。
自分の心の苦しみを話す人もいない。
そして、そんな状況にいつの間にか陥ってしまった自分が、
情けなくて、
いつも自分の顔を鏡で見るたびに、自己嫌悪に陥っていた。

******

そんなとき、
そんな状況でも、
俺のことを、絶対に差別しなかったのが、ナベちゃんだった。

彼は、その不良グループの、仲間だった。
小学校時代、彼は、そいつらと同じ小学校で、
地元同士だったからだ。

休み時間は、いつもナベちゃんは、そいつらのいるクラスまで遊びに行っていた。
だから、そんな風に、そいつらと一番近いはずのナベちゃんが、
俺のことを真っ先に避けるようになっても、
不思議ではなかった。


しかし、彼は絶対に、俺のことを避けなかった。
一度も、彼に、差別された目で見られた記憶がない。
クラスの全員が、俺のことをなんとなく避けていようと、
彼は、一度たりと、決して俺のことそういう風には扱わなかった。


******

ある日、あれは、中学3年の、夏休みが始まる前の頃。
学校のプールの裏の、壁が、誰かによってボコボコに壊されていた時があった。
それを誰がやったかは、誰も見当がつかなかった。

犯人を突き止めるべく、俺の学年の担任たちは、
一番それをした確立が“高い”であろう、その不良グループのリーダーたちを呼んだ。

その中には、もちろんナベちゃんも含まれていた。


******

その頃俺は、誰も友達がいなかったので、
休み時間はよく一人で過ごしていた。
意味もなく学校の裏を歩いたり、
体育館の裏に行ったりして、
ひたすら休み時間が早く終わることを祈っていた。
俺にとって、中学時代の休み時間ほど、長く、嫌な時間はなかった。

*****

その担任たちに、ナベちゃんたちが呼ばれ、
彼らが帰ってきた。
結局、犯人は分からなかったらしい。
もちろん、それをやったのは、ナベちゃんたちでもなかった。

担任たちから帰された後、
教室に戻ってきたナベちゃんに、俺が聞いた。

「何があったの?」

彼は言った。

「あいつらさ、俺たちのこと疑りやがって。
 あの壁壊したの、俺たちじゃねーのにな」

そこでナベちゃんが言った。

「俺たち、担任たちに問い詰められてさ。
 そこで、Yが言ったんだよ。

“○○じゃねーの?あいつ、いっつも一人で学校の裏とか歩いてるじゃん”って。

でも、そこで俺が言っといた。
“いや、○○は絶対にそんなことやるヤツじゃねえ。
 あいつは絶対に違う“って。」



俺はそれを聞いたとき、ものすごく嬉しかった。
そんな状況でも、俺のことを守ってくれたこと。
その時ナベちゃんは、Yに、
「お前そんなこと言い切れる確信あんのかよ?あいつがやったかもしんねーだろ?」
と言われたらしい。
それでも、ナベちゃんは、俺はやっていないと、言い張った。
それさえも不確かな中。


そのナベちゃんの取ってくれた行動は、俺に、
彼の誠実さと、男としての、真の男らしさを見せられたときだった。


*****

卒業式当日。
式が始まる前。

教室の一番後ろの席で、浮かない顔をして俺が座っていたとき。

ナベちゃんが俺に言った。

「俊輔、いろいろあったと思うけど、
高校では、今までの自分の過去、全部白紙にして、
思いっきり羽伸ばして来い。」


その時、どんなに、自分の暗かった未来に、希望が見えたか。

俺が中学時代、なんとかやって来れたのは、
俺を励ましてくれていた水泳の白井コーチ、
そして、同じクラスのナベちゃん、
この二人がいたからこそであった。


******


ナベちゃんは、俺が18歳のとき、成田からアメリカへ向かう飛行機を見送りに、
中学のときの仲間、6人を引き連れてやって来てくれた。

一年目が終わり、夏に日本に帰ったときも、
俺がアメリカへ旅立つ数日前、これまた、中学時代の仲間、
今度は20人以上を集めてくれて、俺を見送る会を開いてくれた。

そして、この時、空港にもやはり友達みんなと見送りに来てくれ、
俺が留学2年目、新しい土地San Joseに移り、
友達もまた誰もいなくなって、進路で悩んでいたとき、
メールで心から励ましてくれたのも、ナベちゃんだった。



彼が俺にしてくれたことは、ここに書いていったらキリがない。
そして、俺がいつも、彼にそのことを言うたびに、
彼は、「俺は何もしたことがないよ」という。

しかし、彼の真の優しさと、懐のでかさは、
俺の心にいつも残っている。

そして、彼が俺に、自らの行動と身を持って教えてくれた二文字。

「信頼」。


それは、いつまでも、
俺の心の中に、残り続けている。



******

ふと、彼のことを思い出し、
ここに書いてみた。

07・14・07






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コメント一覧

7. Posted by Shun   July 26, 2007 04:56
aniki,
リンキンパークともう一個のYoutubeありがとう。
リンキンパークと言えば、丁度友達が、今週末の彼らのライブに行くって話ししてて、その後アニキのこのコメント読んだら、リンキンパークのビデオだったから、ビックリしたよ。

そうですな、日本に帰った際には、
ぜひぜひ語りやしょうぜ。
ワタクシめは、カリフォルニアワインでも持って帰りますぜ☆
6. Posted by aniki   July 24, 2007 00:22
きっとこれを見ると共感すると思うよ。
http://jp.youtube.com/watch?v=uZlHOlTXhLs

僕はこっちの方だけどwww
http://jp.youtube.com/watch?v=zzp9_XobhVI

日本に帰ってきたら語りましょう☆
極上の日本酒を揃えて待ってますぜ!!!!
5. Posted by Shun-よかっぜよ!へ   July 19, 2007 16:49
よかっぜよ殿、

お久しぶりです。まさかこんな形で再会することが出来るとは、思ってもいませんでした。
君のメールアドレスが分からなくなって、連絡の方法が分からなくなっていたので、こうしてまた連絡が取れるようになって、大変うれしいです。

今は、鳥類の視覚について研究をしているんですね?すごいなあ、専門分野ですね。

僕もアメリカに来て、もう5年が経とうとしています。これから一年間は、この国で働きますよ。

出来れば、僕のMIXIにメールを送ってください。君のMIXIの名前が分からないもので。

また、近いうちに再会したいね。
忘れもしない、「ジャンヌダルク、よかっぜよ!?」 ^_^

俊輔


4. Posted by よかっぜよ!   July 19, 2007 00:23
この名前で分かるよね?
高校1.2年のとき一緒のクラスでした。

俺は現在大学院の修士2年で、鳥類の視覚について研究をしています。
いきなりで、何書いていいか分からないけど、こちらは、いろいろがんばっています。

そちらも楽しそうで何よりです。
アメリカは結構長くいるみたいですね?
近況がよく分からないのですけど、俺に話してくれた夢はかないそうですか?
それとも別な夢を見つけましたか?
Shun(こんな呼び方してなかったけど)は、
色んなことに興味を持ってチャレンジしてたね。
だから、どんな夢でもかなえられそうな気がします。

良かったら、近況を教えてください。

これを読んでくれること願っています。
3. Posted by Shun(続き)   July 17, 2007 22:07
あの日々があったからこそ、今の自分がいるんだと思うと、あの時期があって良かったなと思うよ。前は思えなかったけど、今は思えるようになった。

今でも覚えてるよ。中3の終わりごろ、アニキんちで夜中まで話してたことを。
あれで、俺もかなり救われたんだよ。ありがとう。

お互い、これからもドンドンでかくなっていこうね。
日本に帰った際には、また語ろうね
2. Posted by Shun   July 17, 2007 22:05
aniki,

コメントありがとう。
俺も、アニキに色々あったとは、何となくは気づいた時期もあったけど、そんなに辛い時期があったとは、ほとんど分からなかった。それだけ、アニキは自分ひとりで耐え抜いていたんだね。

俺も、中学時代の記憶はほとんどない。記憶から消し去ってしまっている。
だけど、そういう、心に響いたことは、今でも覚えている。

たまに思い出す。あの時期があったからこそ、人の痛みが分かる人になろうと決心したってことを。
そして、あの頃の思いがあったからこそ、それをバネにして、いつも上に伸びようとしてきたことを。
もしも中学時代が、何もなく、楽しい日々を過ごしていたら、俺はきっと地元の高校に通い、日本に残っていたと思う。

お互い、ああいう時期があったからこそ、アニキの言うとおり、今を強く生きていく「底力」が付いたわけだしね。
1. Posted by aniki   July 17, 2007 03:13
古い話だな。
僕は中学の記憶がほとんど無いがこれだけは覚えている。

あの中学はイカレてたよ・・・

僕も色々とあったけど自分を救ったのは決して屈服しない己の精神力だったな。



そしてそれが今の自分の『底力』になっている。

あの時に比べれば現状はぬるく、そして俺の心は折れてはいない!!ってね☆

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