July 17, 2006 21:18

”思い出の子持ち昆布”

龍のシェフ、切る!2








これは、「忘れられない晩餐会」からのエピソードの一つです。
かなり長くなったので、興味のある方はどうぞ。^−^



7月15日。この日晩餐会は開かれた。
前回の内容に対して、今回は、「寿司」。
龍のシェフが、自分のオーダーしたものを、その場で握ってくれるという贅沢さだ。
しかも、その頼み方にも、ルールがある。
まずは、そこに集まった8人が、トランプのカードを引く。
1から9の数字の書かれたカード。
そのカードの番号により、自分がオーダーできる順番は決まる。
1を引いた人は、一番最初に。
8の人は、皆が終わるまで、待っていなければいけない。
涎を垂らしながら。笑
そして、一度にオーダーできる寿司のネタは、
3種類。
1貫ずつ、3種類までオーダーできる。
お品書きから自分の好きな寿司を選び、
3つ、龍のシェフに頼む。
3つとも違う種類を言ってもいいし、
「マグロ、マグロ、マグロ」なんてのもあり。
前に頼んだ人によって、
残された人が食べられるネタの種類は確実に減っていく。
ちなみに、一周すれば、またカードは回収され、
みんなが引き直す。
恐ろしいゲーム。
みんな真剣やった。笑


今回のこの寿司オーダー。
心に残るエピソードがあった。
今回参加された、馬場先生。
前の日に、「自分の好きなネタ・ベスト3をメールするように」
と送られてきた龍のシェフからのメール。
そのメールに、誰もが、即答してきた。
「白身があればいい」という控えめな人もいれば、
「絶対好きなのは、はまち、〜、〜。
まーまーなのは、ウニと、サーモン(あぶればOK)」
といった、「それ3つ以上やん!!しかも"あぶればOK"って!!」という堂々の返信をしてくるツワモノもあり。
皆からのメールを見ながらメモを取る龍のシェフの顔は嬉しそうで、
「みんなレアなところをついて来るな〜」と困っていた。

晩餐会前日。
午後を使って、近くの商店街を周って来た龍のシェフと俺。
全ての店という店を周り、
どこの店が安いのか、
どの店が安くていい食材を置いているのか、
全て見てきた。
「あぶり」を希望した人のためにも、
バーナーも用意した。
そこまでこだわるのか!
驚嘆する俺。

バーナー







一通り店を周り、
その日に買える食材はその場で買う。
魚は、次の日の朝ちゃんと入ってくるかを、
店の後ろから魚屋のおっちゃんを呼び出し、
確かめる。
「うん、明日の朝は鯛は入るよ!」
その言葉を確かめ、
「おじちゃん、明日朝一で買いにくるで!」
しっかり契約していく龍のシェフ。
彼が手にした、食材リストは、
徐々に、しかし確実に、埋まって行った。
皆がリストに挙げていたアナゴもゲット。
行きは、手ぶらだったが、
帰りは、自転車の前と後ろにくくり付けた荷物。
「これでコケたら悲惨やで ^−^」
ニコニコしながら家に帰る龍のシェフ。

商店街周りに軽く3時間近くは費やし、
やっと帰ってきた。
季節のお届け人・健太のところでもしっかり野菜を仕入れ、
欲しい食材は、明日の朝一番で買いに行く。
頑張りすぎでちょっと疲れ気味の健太だった。
あそこまで頑張ればな。
体調には気をつけて欲しい。

夜になり、馬場先生からのメールが届く。
「うほっ!馬場コーチやってくれたわ!」
ニコニコしながら嬉しそうに叫ぶ伊吹さん。
どうしたのか聞くと、彼は、子持ち昆布を希望してきたという。
”子持ち昆布”
どうやらそれには、一つの大事なエピソードがあるらしい。



以前、まだ伊吹さんと馬場先生が、テニスのインスイトラクターを一緒にしていた頃。
その二人のテニスの師匠、小野さんという方が、
毎回彼らの仕事が終わるたびに、夜を一緒に食べに、連れて行ってくれたそうだ。
そのときに、寿司屋に行く際に、必ず小野さんが頼んでいたのが、
”子持ち昆布”。
それを、彼ら二人は、分けてもらっていたそうだ。
中々、希少なこのネタ。
伊吹さんがテニスのインストラクターを辞め、
アメリカに料理の修業をしに渡った後も、
馬場先生は、小野さんと引き続きテニスのインストラクターとして働いていた。
その際にも、必ず寿司屋に行く際には、小野さんが頼まれていた子持ち昆布。
テニスの道を辞め、
鍼灸の道に進んだ後も馬場先生を応援して下さった小野さんは、
去年、亡くなられた。


馬場先生にとって、子持ち昆布は、
大事な、思い出の一品である。
「いつも寿司屋に行くたびに、僕はこれをオーダーするんです。
これを見ると、あの頃のテニスコーチ時代のことを思い出すんです。
中々レアなので、置いていないと、がっくりするんですよね」

そんなエピソードつきの、子持ち昆布。
このエピソードを丁寧にメールに書かれて、リクエストしてきた馬場先生に、
伊吹さんは、相変わらずニコニコしながら、
「参ったな〜」と言っていた。
そう、この日、俺と一緒に魚屋を周った際に、
たまたま子持ち昆布がある店を発見してはいたのだが、
その値段の高さに、「これはムリやな〜」と諦めていたのだ。
でも、このエピソード付きの、ネタ。
馬場先生は、必ず楽しみにして来られる。
龍のシェフは、「何とかゲットしよう」
そう決心していた。


次の日。
朝寝坊した俺が起きると、龍のシェフは帰ってきた。
大荷物を抱えて。
「俊輔!魚ゲットや!
料亭用の甘エビもゲットしたで!」
嬉しそうに語る伊吹さんに、「子持ち昆布は?」と聞くと、
「もちろんゲットや!ウニより高かったで〜 ^−^」
とニコニコしながら答えてくれた。


そんなエピソード付きの、子持ち昆布。
馬場先生に取っては、思い出の品。
その日配られた「お品書き」には、しっかりと、
その名前は、刻まれていた。

お品書き











みんなが、馬場先生がそこまで子持ち昆布にこだわる理由を知った後は、
みんなで、彼をいじる。
「もし一回目で馬場先生が最後の方の数を引いて、
最初の人が、3つとも子持ち昆布!にすれば、
いずれ馬場先生の番には、子持ち昆布終わってるで ^−^」
「ええ!それはまずいですね!」
嬉しそうに答える馬場先生。
いざ、皆でカードを引く!
馬場先生は、5番目!

伊吹さん「よし、じゃあ4番までの人が3つとも子持ち昆布にすれば、確実に馬場先生は食われへん!」

馬場先生「ちょっと待って下さいよ! ^−^」

伊吹さん「沙織里さんなんか交渉得意やから、馬場先生とビジネスしだすかもな!"私の子持ち昆布、いくらで買いません?"なんてな」

俊輔「じゃあ馬場先生、俺の子持ち昆布一個と、鯛3つでトレードしませんか?」

馬場先生「そう来たか!
     う〜ん・・・!! じゃあ鯛2個やな!!」

そんな交渉が続いた。 笑


1番を引いた和人は、「甘エビ、焼きシイタケ、それと、・・・子持ち昆布!」
2番目の近藤さんも、「そうですね〜、〜と、〜と、それと私も・・・子持ち昆布!」
馬場先生「みんなイジメやで!」
皆から笑いが飛び出す。

4番目のカードを引いた俺は、「そうだな〜、じゃあ鯛と、カンパチと、
それと、焼きシイタケもいいな〜、でも子持ち昆布も頼まないと」
馬場先生「最後は焼きシイタケにしなさい」
俺「命令っすか! 笑
じゃあ〜・・・・ 子持ち昆布!」
皆「やっぱりかよ!」

そんな笑いが続いた。

そして、極めつけの笑い。
俺の後にオーダーした馬場先生は、もちろん真っ先に子持ち昆布を頼んだ。
隣の席に座った和人との話しに盛り上がっていた俺は、自分の寿司を食べるのも忘れ、
話に没頭していた。
手付かずな寿司。
話をしていた本人の和人が、
「ていうか、寿司食べないんですか?」
俺「あ、食べます食べます!」
馬場先生「そんなこと言わずに横から食べちゃえばよかったのに!」
俺「いやそれはないっしょ!」

そうしている間に、馬場先生のオーダーは、皿に乗って、伊吹さんの手より渡された。
皿を持ってくる伊吹さん。
「あんまり子持ち昆布コモチコンブうるさいから、
こんなんにしたった!!」
皆「うお!でかい!!!」

その皿に乗るコモチコンブ。
その大きさは、俺の子持ち昆布の、7倍はあった!
確実に!
これが証拠の写真。

こもちこんぶ









馬場先生「いやあ〜〜!!!これは嬉しいな〜!!!こんなの見たことないで!」
伊吹さん「当たり前や!こんなのありえんで!! ^−^」
俺「っていうか、一個前にオーダーした俺は損してるじゃないっすか!
明らかにこの2つの差はでかいっすよ!!」

そんな会話が続いた。

期待の子持ち昆布を目の前にした彼。
みんなの注目が集まる中、
それを美味しそうに食べる彼の顔は、
本当に幸せそうだった。



馬場先生の大事な、子持ち昆布エピソード。
今回の晩餐会で、明らかに、忘れられない大事な一瞬となった。


7.17.06




追記:
皆がオーダーを順番に3周し終わった後、
今度は一人ずつが、、伊吹さんの立つカウンターに直接呼ばれ、
好きなネタを、好きなだけ、
食べられることとなった。
この回で、見事一番を引いたのは、
他でもない、馬場先生!!
前日にお会いした時にも、
「伊吹コーチがこの前に店で握ってくれた寿司は、最高でした。
本当に、人生で一番うまかったです」
彼のブログにも、そのことは書かれていた。
相当、今回の晩餐会も楽しみにしておられたことだろう。
そんな馬場先生が、見事勝利の1番を勝ち取った。
俺も、嬉しかった。
ちなみに、最初の2周とも、1番を勝ち取っていた和人。
この最後の、一番大事な時に、なんと彼が引いたのは8番!
「また気持ちで負けてしまった!」
悔しそうに笑ってる彼。 ^−^

カウンターに呼ばれた馬場先生の後姿は、
明らかに嬉しそうだった。
好きなだけネタをオーダーしていた馬場先生。
和人「あの〜、後が詰まってるんですけど!!」

途中でみんなが待つテーブルに、カッパ巻きを持ってきた馬場先生。
馬場先生「みなさん、まあこれでも食べて待っていて下さい」
皆「何なんだその余裕は!!」


そんな彼も、もう存分、子持ち昆布をオーダーされたそうです。
皆のテーブルに帰ってきた彼の顔は、
満足そうでした。 ^−^


追記の追記。
(それまで5番とか、8番とか、後ろの方の番号を引いていた俺は、
ついに最後で、3番をゲット!!
やった!と楽しみにしていたが、
いざ、伊吹さん「3番は誰や!?」
「俺です!」
「おお!俊輔か!」
「はい!」
「じゃあ俊輔立って」

皆との話を途中で終わらせ、席を立って、カウンターまで行こうとした俺に、
伊吹さん「やっぱり変更!!俊輔は延長!!」
俺「ええ!! 延長ってなんすか!!!」
伊吹さん「俊輔は最後や!!」
俺「マジっすか!! 涙」

皆は爆笑。 ^−^


こんな楽しいひと時でした。


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コメント一覧

2. Posted by shun   July 18, 2006 21:24
悟史さん、
俺も会えて本当に良かったですよ!
悟史さんのやってることから、俺もいい刺激、沢山受けました!
また会える日を楽しみにしてますよ!
  俊輔
1. Posted by フクハラ   July 18, 2006 21:18
そんなエピソードあったんすね!!
やっぱほんま、めっちゃかっこええ人らや!!

あえてよかったですわ〜☆

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