May 07, 2006 14:34

「夢に向かって、努力し続ける男」

bb763899.JPGRyotaro






今回の内容は、
俺がそいつの頑張り様を、最も尊敬する男の話。


その男の名前は、早川 良太郎。


その彼の目は、鷹の様に鋭い。
だが、それと同時に、ものすごく透き通った目をしている。
素直で、真っ直ぐに目標に向かう、強い心を持ち、
毎日、努力し続ける男。


この男、4年前に、日本からアメリカへ、留学した。
目的は、アメリカで、メジャーリーガーになるため。

地元が成田の彼は、高校時代、
成田高校の野球チームのピッチャーで、エースだった。
フツウに日本の大学に入学して、
そこから日本のプロ野球界に入る道も選べたが、
やっぱやるなら、本場アメリカでやりたいと、
アメリカ留学を志し、アメリカの4年制大学でまずはチームに入る事を選んだ。

高校が別々だった俺らは、たまたま当時行っていた、
英語塾のようなもので、知り合った。
初めて会ったときの彼の印象は、何かに向けて、
ひたすら素直に、頑張るやつという感じ。
当時は俺も、彼の凄さとか、野球の大変さとか、全然分かっていなかったけど、
二人とも、アメリカに行って、自分の夢を追いかけたいというのは一緒だったので、
自然と意気も統合し、よく二人で勉強とかをするようになった。

そして、二人とも、いざアメリカに留学。

彼は、カンザスの4年制大学へ。
俺は、カリフォルニアのど田舎の2年制大学へ。
二人とも行った土地も、目指す目的も違ったけど、
そこからはたまに、電話やメールで連絡を取り合うようになった。


俺らが留学してから、ほぼ4年。
この前、2月の半ばに、彼がカリフォルニアまで、試合の遠征に来た。
その時、同じ英語塾で知り合った同胞も集まり、彼を応援しに行った。
その時以来会っていなかった彼から、今日久しぶりに電話が来た。

彼に、調子はどうかと聞く。
あまり良くないらしい。
今シーズンが2月の頭に始まってから、もう3ヶ月経つ。
シーズンは2月に始まり、6月まで続く。
つまり、4ヶ月以上、シーズン中は、休む暇もない。
今の彼のスケジュールは、月、火、水、木は学校。
その内火曜、水曜は試合があって、月、木も、もちろん学校の後は練習がある。
そして、木曜の夕方、クラスが終わったあとに、各試合の遠征場所へ、飛行機で向かう。
カンザスから、全米中の土地へ飛ぶ。
そして、木曜の夜に着き、金曜から試合。
土曜、日曜と、三日連続で試合をし、
日曜日、試合後、速攻カンザスへ帰る。
ひどいときには、カンザスに着くのは、朝の3時とか。
そして、月曜の早朝から、また学校。

これの、繰り返し。

日本人留学生として、まずは、4年制大学の授業に付いていくだけでも、
勉強に時間を費やさないといけないのに、
彼はそれ以上に、野球の練習、そして試合が、毎日、毎週末入ってくる。
そして、週末はアメリカ各地へ飛ぶ。

こんな無茶なスケジュールを、彼は、2月の頭から送っている。
毎週末試合。休みは、なし。

調子はどうかとの質問に、最近あまり良くないと答えた彼は、
今の状況を語ってくれた。

去年の2月に、肘を故障し、その後手術をして、
半年ほど、全くボールを投げられなかった彼。
その後、奇跡的な速さで回復し、今はまた、マウンド上に立っている。
そして、今年の頭から、また遠征チームに選ばれ、試合で投げ始めたが、
やはり、どうも調子が出ないらしい。
それだけの間ブランクができた体で、
やはり、元々の感覚は完璧には戻ってきていないらしく、
色々と大変な思いをしているらしい。

「復帰はしたけど、復活はしてない」

自分の思うように投げられないコンディションで、投げる彼。

「やっぱり、自分に負けるのが、一番嫌だ」
「試合に負けるのはもちろん嫌だけど、それ以上に、
自分に負けるのが、一番耐えられない」と。

一年生の時は、フレッシュマンということもあり、
チームからの期待もそんなに高くはなく、
上手くやったら、「よくやった!!」と褒められる状況。
だが今は、彼も3年生。上手く行って当然と見なされ、
もし失敗したら、「何で打たれてんだ」と言われる厳しさ。

前は、監督やチームメイトからの眼差しも、期待されているというものを感じ取っていたが、
今は、肘の故障の後もあり、「こいつが投げたら、打たれるんじゃねえか」という、厳しい目に変わって来ているらしい。
野球は、勝ちか負けかの厳しい世界。
いかに昔好かれていようが、今結果を出せなかったら、自然と監督やチームメイトからの目も変わってしまう。

そんな厳しい状況で、毎日戦う彼。
「もの凄く厳しい世界だな」との俺の言葉に、
「ここ最近、本当に頭の切り替えが早くなったよ」と。
「その切り替えの早さがないと、一日中ムダになっちまう」
「とにかく、悪いことがあっても、一球打たれても、
その後すぐに心を切り替えないと、そのままズルズルいってしまう」と。

そして、「今シーズンでずいぶん、強くなったと思う」と。
元々驚くくらいに強靭な精神力を持つ彼。
その彼が言うくらいだ。相当、精神的に強くなったんだろう。

そんな中で、絶対にあきらめず頑張り続ける彼。

「今まで頑張って来た、意地、気力、根性。
ここまで来たら、後に引くわけにはいかねえ」

「今は、毎日本当に、死ぬか生きるかくらいの覚悟で、毎日やっている」と。

「それくらい気合入れていかねえと、本当にダメになっちまう」と。


彼の、その言葉。
めちゃくちゃ、心に響いた。
そんなに厳しい世界で頑張っている彼が言う言葉。
言葉の一つひとつに、重みがある。
そんな彼が、「生きるか死ぬか」の覚悟で、毎日生きていると言う。

いかに、辛い状況なのか。
身に沁みた。


そんな彼を、俺は本当に尊敬する。
4年間、彼は、本当に毎日、頑張ってきた。
毎日、どんなに状況が辛かろうが、
周りの人間に信じてもらえなかろうが、
自分ひとりは、己を信じ、
一人、戦ってきた。

そして、その努力の積み重ねがあるからこそ、
今、こうして、試合に出られ、ボールを投げられる彼がいる。

「今は、監督も、勝つか負けるかがハッキリしている様な試合でしか、
俺の事を出してくれない」と。
「前は、ここが勝負時だってときに、監督が俺の事を信頼して、出してくれた。
でも今は、監督の俺に期待する目も、大分変わってきた」と。
「でも、試合に出させてもらえるだけでも、有難いと思っていかなきゃいけない」と。


ちなみに、日本人留学生で彼のように、
4年制大学のレベルの野球リーグで、
遠征チームに入って、実際にマウンドで投げているやつは、
恐らく彼一人だけだろう。
そのレベルで、あの小さい体で、バカでかい体のアメリカ人を相手に戦うやつは、
本当に凄い事をしている。

この前も、試合を見に行ったが、
175センチくらいある彼も、マウンドに立つと、
本当に小さい子供のように見えた。
そんな中で、あいつは毎日戦っている。

肘を壊した後も、キツいリハビリを乗り越えて、
今はまた、試合に復帰している。
でも、チームや監督からの厳しい目。
毎年、若いフレッシュマンもどんどん入ってくる中で、
そろそろ23歳になる彼は、毎日、自分が生き残れるために、努力するしかない。

「たまに辛い状況になると、
こうして誰かに愚痴りたくなるんだよな」
「でも、こうして話を聞いて、分かってもらえるだけで、
本当に助かる。やる気が出てくる」と。

今書いてて、目頭が熱くなった。
俺は、あいつの頑張りが、よく分かる。
英語もロクに喋れないまま、アメリカに渡り、
ESL学生の頃は、チームには入れないから、チームの記録係のようなものをやって、チームにとけ込もうと必死だった彼。
そこから始まり、一年生で試合で投げられるようになれ、
その年が終わった夏は、中西部の州が集まる、夏の野球リーグで選手に選ばれ、
今までにない快記録も作った彼。
ラジオや新聞にも出て、ネットで彼の名前を検索すると、ヒット件数も多い。
そんな彼が、次の2年目の中盤で、肘を壊し、試合に出れなくなる。
そして、半年のブランク。
自分の一番の武器の、肘が壊れ、
ものすごい不安と恐怖の中で、必死に戦ったことだろう。
医者も、半年はかかると言った肘の回復を、
それ以下の短期間で見事治し、
そして今は、またマウンドに立っている。
しかし、自分の思うような結果も出せない。
監督やチームメイトからの目も厳しい。
そして、毎日、鬼のようなスケジュール。
休む暇すらない。
食べたい日本食だって食べられない。
学校の勉強だってきつい。
遊びたくても、遊べない。
日本語が話したくても、話すやつすらいない。
そんな中、毎日、
生きるか死ぬか、それほどの覚悟で、
毎日己を励まし、努力し続けるしかない。
もう後には引けない。

そんな状況で、
必死に頑張る彼が、
「こうして話を聞いてもらえるだけで助かる」と。

嬉しかった。でも、それと同時に、
俺も、なんとかして、
彼のためになってやりたい。
そう強く思った。
俺ができるのは、エールを送る事と、
こうして、彼の話を聞いてやることだけ。
俺に、あいつの本当の辛さは、絶対に解らない。
精神的にも、肉体的にも、ギリギリのところで頑張る彼。
「野球をこのまま一生続けたら、俺若いうちに死ぬと思う」と。
それぐらい、きついわけだ。

そんな彼が、こうして弱音を吐く。
それを、俺は弱音とは思わない。
ただ、それを言わないと、誰かに解ってもらえないと、
それ以上やっていくのが、厳しい。
それだけだ。
だから、俺はやつのためになりたい。
道は違うが、俺も自分の道で頑張り、
「お互い、自分の道で頑張ろうな」と。
そして、あいつを常に心から応援すること。
それぐらいしか俺にはできないけど、
あいつには、それでパワーが少しでも届くんなら、
俺はそれで、嬉しい。


「お前と話してると、俺もパワーをもらうよ」と。
「道は違うけど、お前も自分に何が一番あってるかを探すために、
色々挑戦してるのはよく解ってるから、
そういうお前と話すだけで、俺もパワーをもらえるよ」と。

「二人とも、目指す目標は違うけど、
熱いところは一緒だからな」と。

そんなことを言ってくれるヤツ。
早川良太郎。


「話、聞いてくれてありがとう」との彼に、
「俺の方こそ、励ましてくれてありがとう」と。
彼の今の状況の話を聞き、
どんなに励まされたか。
どんなに、今の自分の環境を見つめ直したか。
今の俺の、毎日の、「頑張り」とやらが、
どれほどのものなのか。
毎日、生きるか死ぬかの覚悟で生きている彼に比べたら。



俺は、あいつが絶対に、結果を出すと信じている。
その日々の辛さは、尋常を超えているが、
そんな中であいつは、毎日戦っている。


怪我だけはしないように、頑張ってもらいたい。
いつも、応援しているから。
頑張れよ、良太郎。


5.6.06



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コメント一覧

2. Posted by うえだ   May 12, 2006 07:40
4

可愛いブログですね。
参考になります。

私も最初はブログのUp苦労しました。
頑張ってください。

私のブログ、参考になれば幸いです。
From LA with LOVE ^^
1. Posted by あなたのブログライフ聞かせてください!   May 11, 2006 12:56
1 あなたのブログを見て共感しました
ブログを続けるか続けないか迷ってるんですけど、
私のブログを見てもらいあなたの感想を聞かせてください!
      ↓↓↓
http://www.blogcafe.jp/?bi=test

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