March 22, 2006 16:01

「感謝」

感謝。
その気持ち、
最近の俺は、忘れていなかっただろうか。

今あること。
今、持っているもの。
すべてを、「普通」と思った瞬間に、
そのものに対する、感謝の気持ちは、なくなる。

今、こうして、毎日食べ物が食べられること。
毎日、会う人がいること。
寝たいときに、安心して寝られる居場所があり、
好きなときに、シャワーが浴びられること。

全ては、有難いこと。

無くなって、初めてその意味が分かる。
その、有難さが分かる。


去年の夏、一ヶ月間、
アメリカを、列車を使って、一周した。
その旅で自分に課したルール。
それは、
「その旅先の土地で友達を作り、
その人の家に泊めてもらうか、
もしくは、列車の中で泊まれなかったら、
野宿!」
というもの。
最初は、人を見る目もなくて、
かなり危ない目にあったりもしたが(笑)、
結局、列車の中+野宿が半分、
人の家に泊まったのが半分ぐらいだった。

列車の中で寝ることや、野宿が多いもんだから、
中々シャワーなんて浴びられない。
知らない土地に行ったら、どこに店があるかも分からないから、
腹が減っても食べ物がないこともしばしば。
一番きついのは、
喉が渇いているのに、水が飲めなかったことかな。

一ヶ月間、一人で毎日移動するから、
もちろん友達なんていない。
その土地で友達ができても、
次の日には、お別れのさよなら。
また、新しい土地で、誰かを見つけないといけない。

そんな生活をしていて、初めて分かった。
好きなときに、食べ物が食べられることのありがたさ。
喉が渇いたら、水が飲めるありがたさ。
夜、周りを気にせずに、
安心して寝られる場所があることのありがたさ。
シャワーを浴びてすっきりしたい時に、
シャワーが浴びられるありがたさ。
一人で寂しくなったときに、
話す人、自分の話を聞いてくれる友達がいることのありがたさ。
「俊輔」という一人の人間の存在を認めてくれ、
自分に何かを求めてくれる人がいることのありがたさ。
その人がいないと、
自分の存在価値は、生まれない。
誰も、自分の事を気にしなかったら、
誰も、自分を必要としなかったら、
自分の存在価値は、分からなくなってしまう。

そんな状態で気づいた、
自分を愛してくれている人のありがたさ。

それらのこと。
そんな、基本的なこと。
基本的なのに、今まで、「当たり前」だと思っていたことのありがたさ。
その、ありがたさに、
心から、気づいた。

旅をしていたその頃。
持ち物は、日記帳と、ペンと、
着替えの洋服何枚か。
それと、バックパックだけ。
敢えて、持ち物は最低限にした。
何か貴重なものを持っていくと、自然と体は、守りに入るから。
「取りたかったら取っていけよ」
その覚悟で行くには、正真正銘、手ぶらでいくしかない。
ケータイも、CDプレイヤーも、カメラも、
全て置いて、旅に出た。

そんな中、何度も思った。
今まで普通に暮らしていた生活レベルに戻れたら、どんなに幸せだろうと。
車があり、好きなところに行け、
好きな音楽を好きなときに聴けたら。
それだけで、もう幸せだ。
夜、周りを気にせずに、
ゆっくり眠れる場所があったら。
ゆっくりシャワーを浴びれ、
夜、くつろげる場所があったら。
会いたいときに、大好きな友達に会いにいけたなら。
俺、という人間を知っている人に会えたなら。

それだけで、幸せだ。

そんな状態で一ヶ月間過ごして、
色々な人に会い、
色々な出会いをして、
人のありがたさ、
生きてることのありがたさ、
朝、綺麗な日の出が見えることのありがたさ、
帰る「家」があることのありがたさ、
全てを、「ありがたい」と思った。

そうして、帰ってきた。

それから、車を手に入れ、
住む家を手に入れ、
友達を手に入れ、
自分の生活スタイルが戻った。

全てが手に入った、その日は、
もう、本当に嬉しかった。
ただ、車が手に入り、
住む場所ができただけで、
もう何でもできる感覚だった。

だが、その感じも次第に薄れてきて、
次の日、
また、その次の日には、
もう、その「ありがたさ」も、消えていった。


それから俺は、その「ありがたさ」、
忘れていはいけないと思い、
紙に、「感謝の気持ちを忘れるな」
その言葉を記し、自分の部屋に貼った。

しかし、引越しでその紙をはがし、
新しい場所に移ってから、3週間。
その紙を貼っていないせいもあるのか、
また、毎日、忙しさに理由をつけて、
自分を良く見返らなかったせいか、
今日、ふと気づいた。

「俺、感謝の気持ち、忘れてないか?」と。

学校の忙しさ。
毎日の忙しさ。
人付き合いの忙しさ。
それらを理由にし、
感謝することは愚か、
それらを「当たり前」と思い、
そして、その次の段階、
「不満」を、今の現状に感じるようになっていた。


「不満」は大事だ。
今の現状をもっと良くしたい、
もっと、いいものにしていきたい。
その気持ちの表れだから。
だが、その欲と同時に、
「感謝」の気持ちも、絶対に忘れてはいけない。
感謝を忘れ、不満だけが残ったとき、
人は、醜くなる。
もっと、もっと。
これじゃ足りないわよ。
もっとよこしなさいよ。
あんた、生意気なのよ。
何で、誰もあたしのこと聞いてくれないのよ。

そうなった時に、
人は、醜くなる。

感謝の気持ちを忘れ、
満足しない、醜い豚と成り下がる。

まずは、感謝することだ。
今、自分が持っているものに、感謝することだ。
愛する家族がいること。
愛する友達がいること。
住む場所があること。
食べ物が食べられること。
安心して眠る場所があること。
綺麗な夕日が見られること。
音楽を聴いて、感動できること。
友達と、大事な人と、感動を共有できること。

全ては、素晴らしいこと。
ありがたいこと。

それらを、忘れてないか?


俺らは、まだまだ成長する。
もっともっと。
もっと生活を良くしたい。
もっと、自分の人間性を伸ばしたい。
もっと、広い世界を見たい。
もっと、人生を謳歌したい。

それらの、欲は必要だ。
でも、それと同時に、「感謝」の気持ちを持つこと。
今あるものに、感謝して、
そこから、更なる上の段階を目指すこと。
それで、やっと、人間は本当に上にいけると思う。



毎日、不満ばかり言ってないか?



「感謝」

その気持ちを、忘れずに。


3.21.06


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